各局SDGsをテーマに掲げた大型特集の実施が目立つ。しかし、制作者側には取り組みに新しさを見出す難しさも。広報はSDGsという単語に乗っかるのではなく、基本に立ち返りメディアリレーションズを考えてもらいたい。
最近、テレビの世界で立て続けにSDGsを大々的に取り上げる、大型企画が実施された。TBSは4月26日から5月5日までのゴールデンウィークを、「地球を笑顔にするWEEK」と銘打ち、バラエティ番組から情報、報道番組に至るまで、SDGsを特集。日本テレビも同様に5月31日からの1週間を「Good For the Planet」と題して、SDGsを取り上げた。
番組で扱いづらいSDGs
しかし、SDGsが「テレビの制作者がこぞって飛びつくテーマ」かというと、必ずしもそうではない。最も多くの経済ニュースを取り上げるテレビ局、テレビ東京を例に見てみよう。テレビ東京のニュースがネット視聴できる「テレ東BIZ」で、『WBS』『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』を対象に、「SDGs」で検索したところ、過去1年間でわずか8件。このうち4件は有名企業の経営者にインタビューする「トップの決断」という、日本経済新聞と『WBS』の連動企画だった。
テレビ局全体ではSDGsを大々的に特集しているのに、経済番組だと、どうしてこのような相反する形になってしまうのか。
それは、SDGsという概念が「古くて新しい」ことに起因する。SDGsというパッケージ自体は、確かにニュースで取り上げるべき「新しい」ものだろう。だが、SDGsを構成する個々の要素自体には、決して目新しさはない。SDGsの17の目標を見ても、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」など、改めて番組で伝えるまでもない当たり前なものばかりだ。
大々的なSDGs特集であれば、SDGsがなぜ今、クローズアップされているのか。その社会背景から説明し、SDGsの構成要素を俯瞰的に紹介することで、「新しさ」を打ち出すこともできるだろう。だが、こうした「大特集」でなければ、SDGsのどれかひとつの構成要素にしか焦点を当てることはできない。
そうなると「貧困をなくしましょう」というような、目新しさのない啓蒙か、「資源の削減に熱心な企業」といった、報道番組として避けるべき企業のイメージ広告になってしまう。
このように、番組制作者にとっての扱いづらさを孕んでいるのが、SDGsというテーマなのだ。
SDGsという言葉に頼らない
では...