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社会の変化に対応する「状況判断」力

伊藤邦雄教授に聞く「広報のパーパス」と「ESGウォッシュ」のパターン

伊藤邦雄氏(一橋大学)

企業価値を持続的に創造していくために、これからどのような広報活動が重要なのか。国内外の企業や投資家に影響を与えた「伊藤レポート」をはじめ、日本のコーポレートガバナンス改革を牽引してきた伊藤邦雄教授に聞いた。

一橋大学
CFO教育研究センター長
伊藤邦雄(いとう・くにお)氏

1951年千葉県生まれ。1975年一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院商学研究科長・商学部長、一橋大学副学長を歴任。一橋大学CFO教育研究センター長、同大名誉教授。中央大学大学院戦略経営研究科特任教授。セブン&アイ・ホールディングス、東レ、小林製薬の社外取締役。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)コンソーシアム会長。日本IR学会会長。

「日本企業の経営はどのようなテーマ・課題に直面しているのか、理解できる広報へと変わらなければならない時期に来ているように思います」。伊藤邦雄教授はこう指摘する。

「経営者、とりわけ上場企業の経営者が強い関心を持っているのは、自社の企業価値をどう持続的に高めるか。価値が落ちれば好まざる買収にあうかもしれませんから当然です。本来広報は、コーポレートブランドをはじめとした無形資産づくりに大いに関与し経営を担う存在。企業価値を高める役割を果たす必要があります」。

従業員向け情報、投資家も関心

ではどのような広報活動から企業価値が生まれるのか。

「広報した情報を、ステークホルダーが受け入れ、反応し、行動変容まで起こす。それが良い方向に向かえば、企業価値として集約されていきます。組織の中の情報を開示する際、かつては顧客向け、投資家向け、従業員向け、と提供する情報を分けるのが一般的だったと思います。ところが昨今、投資家は企業価値を評価するために、財務情報だけでなく従業員や顧客に提供するような情報も知りたがっています。どのステークホルダーにも一貫した情報を提供することが、誠実さのある広報活動になっているように思います」。

投資家が今、関心を高めているテーマは企業の「人材に関すること」だと伊藤教授は言う。

「例えば投資家との対話に、従業員エンゲージメント調査は行っているのか、どんなKPIか、なぜそのKPIなのか、といったことが出てきます。従業員一人ひとりの生産性を高める企業文化になっているかを知りたいからです。投資家が重視するのは...

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