かつて、社外に発信する、となればマスメディアを通じた露出が主だった。しかし、今やオウンドメディアやソーシャルメディアで社員が発信するように。そうした変化の中で、広報はどのような存在となるべきか。サイボウズの青野氏に聞く。

サイボウズ
代表取締役社長
青野慶久(あおの・よしひさ)氏
1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、1997年愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年代表取締役社長に就任。2018年代表取締役社長 兼 チームワーク総研所長(現任)。内閣府、文科省の外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を歴任。
グループウエアやチームワーク強化メソッドを開発・提供するサイボウズ。「チームワークあふれる社会を創る」を企業理念に、社内では100人いれば100通りの働き方を選べる環境を生み出し、離職率を下げ、社外に向けてはオウンドメディア「サイボウズ式」でチームワークや多様性に関する情報発信を行ってきた。そんな同社の創業者兼代表の青野慶久氏が語る「これからの広報観」とは。
新施策「株主会議」の背景
その核心に迫る前に、同社の近年のステークホルダー(株主・社員)との関係構築のための新しい施策を振り返る。まずは、「株主会議」。これは、同社の株主約2万5000人(2020年12月時点)とのコミュニケーションを目的に、同社の過去の振り返りや将来を語るイベント。2021年はオンライン形式で、誰でも見られるようにした。
「株主総会では業績を報告するのみで、それ以上の踏み込んだ話が株主の方々に対しできていませんでした。そこで、株主と語り合う会を設けよう、ということで2019年に始まりました」。内容は、著名なビジネスパーソンほか、実際に株主にも登壇してもらい、同社の今後についてディスカッションしたりする。2021年2月に開催した株主会議には最大850人が視聴したという。

サイボウズが今後、どういう方向に向かっていくか、を語る場として2月27日に開催された「サイボウズ株主会議2021」。青野氏と副社長の山田理氏がモデレーターを務め、株主も登壇。その様子はオンライン上で誰でも視聴可能にした。