本誌の前身『PRIR』創刊準備号(2004年12月発行)に掲載した記事の要約版をお届けします。16年前の記事ですが、広報が果たすべき役割がいかに拡大してきたのか、変わらぬ本筋とは何かが分かります。
※情報は当時のもの

組織が社会と良好な関係を維持するために、広報が果たすべき役割は増えている。環境問題への取り組みはどうか。女性管理職の比率は高まっているか。発展途上国での製造過程で児童がかかわっていないか。社会の期待に応える情報をきめ細かく発信しなければ、組織は孤立してしまう。以前なら「そんな内情は公表できない」と言えたが今は違う。CSRの観点から、実態の改善度合いを伝えなければ株価、ひいては経営にも影響を与えかねない。
さらに厄介なのは、インターネットの登場で世界中が「うわさ社会」になったことだ。誤解・曲解された情報が、組織内外に飛び交った時、広報としてどう対応するかは深刻な課題である。一方、価値観の多様化などで組織への求心力が弱まっている。
近年はリストラに代表される厳しい組織改革を打ち出すことも少なくない。働く人たちが不満を持つ改革をどうコミュニケーションしていくかも経営者や広報の役割となっている。危機管理も重要な業務だ。不祥事が表面化し批判され始めた時、初期対応の失敗やトップの余計な一言で、社会との摩擦がさらに厳しくなることもある。このように広報の役割は、経営を大きく左右する存在になってきた。
原点は商品広報と社内報
そもそも企業広報の歴史は商品広報から始まった。広報活動は販促のために商品がマスメディアに載ることを目的に...