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トップの言葉で心を揺さぶる 広報の準備力

教授が教える!明日にも実践可能なスピーチテクニック

橋爪大三郎(社会学者・大学院大学至善館教授)

トップの発言を通じ、顧客や従業員との関係維持を図るのも広報の務め。一方、コロナを背景に各国首脳のスピーチ力に注目が集まるが、自社のトップのスピーチ力はどうだろうか…。読んで即実践できる、スキル向上のメソッドを『パワースピーチ入門』の著者に聞いた。

POINT1

コロナを背景に、組織トップのスピーチに関し、メディアの注目集まる!

■「菅首相初の施政方針演説とほぼ同時期に、バイデン米大統領の就任式と就任演説が行われた。政治風土や慣習の違いはあるものの、両トップの演説には歴然とした差があった」(『福島民報』2021年1月31日配信記事より抜粋)

■独メルケル首相演説が2020年スピーチ・オブ・ザ・イヤーに(『Newsweek』2020年12月21日配信)

■「そもそも日本の政治家には『パブリック』と対話をする力が絶望的に弱い」(岡本純子氏著『東洋経済オンライン』2021年1月27日配信記事より抜粋)

経営トップにもスピーチスキルの向上が求められる

コロナ禍の今、リーダーのスピーチ力が問われているのだという。

何をいまさら。リーダーはそもそも、スピーチが仕事だ。コロナ禍があろうとなかろうと、スピーチのプロでなければならない。

なぜスピーチが大事か。スピーチは時間が限られている。書類のように、何でも詰め込むわけにはいかない。耳で聴いて分かるように、短く話をまとめないといけない。だから誰もが、大きな気付きを得られるのだ。

スピーチ改善の3つのポイント

じゃあ、どんなスピーチをすればいいか。その秘訣を教えてさしあげましょう。

❶短く話す。経営トップは大抵、話が下手だ。「早く終わらないかなあ」と聴衆に思われる。ならば、そう思われる前に終わればいい。短いことは、スピーチの最大の美徳である。

❷余計なことを話さない。よくあるスピーチは、80%以上が無駄である。無駄を切り詰めると、自然に短くなる。

❸言いたいことに集中する。スピーチをする当人が、自分が何を言いたいのか分かっていない場合が多い。だから伝わらない。

そんな最悪なスピーチにならないために次のトレーニングを勧めよう。スピーチ原稿ができてだいたい頭に入ったら、①15秒で何を言うか考える。急な事情で発言時間がたったの15秒になった。言えるのは1文か2文。本当の核心を語るしかない。原稿の核心をさがしなさい。②60秒で、何を言うか考える。15秒より言えることが増える。核心に加えて、枝葉や尾ひれをつけ加えることができる。③3分なら、何を言うか考える。3分あればだいぶスピーチらしくなる。核心をさらに分かりやすく肉付けできる...

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