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元ディレクターが直撃取材!テレビ番組制作者の本音

ターゲットに合わせ制作陣もテーマも一新 リニューアルしたNスタの方針は?

下矢一良(PR戦略コンサルタント・合同会社ストーリーマネジメント代表)

テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、実際に人気番組の制作者にインタビューしメディア対応の極意を聞き出します。

『Nスタ』

TBSの夕方の報道番組。メインキャスターを井上貴博 TBSアナウンサー、タレントのホラン千秋が務める。毎週月~金曜15時49分~19時放送。

プロデューサー兼筆頭編集長 法亢 順氏

各局のニュース番組が凌ぎを削る、夕方の時間帯。取り扱うニュースの多くは重複せざるを得ないのも確か。それだけに各局の制作者の手腕や個性が、最も問われる時間帯とも言える。

今回、取り上げるのはTBSの『Nスタ』。プロデューサー兼筆頭編集長の法亢 順(ほうが あや)氏に取材先の選出や2020年に挑んだ番組リニューアルの全貌を伺った。

コロナ禍で優しさが求められている

法亢氏はTBS入社後、報道カメラマンとしてキャリアをスタート。その後、8年に渡って警察を取材。警視庁キャップ、社会部デスク、政治部、朝の情報番組などを経て、2年前から『Nスタ』の担当となった。

現在、最も番組制作に影響を及ぼしている、新型コロナウイルス。『Nスタ』では2020年3月の緊急事態宣言から3班体制をとっているという。「2班が局に出勤し、もう1班が外に取材に出るという役割分担です。取材に出る班は、自宅から直接、取材現場に行き、素材は局に伝送します」。

しかし、直接取材相手に会いにくい現在の状況には、報道取材のあり方として、ジレンマも感じているという。「最も感じているのは、取材先に行きにくくなったということです。これは、“人”を取材する上で大きな妨げとなっています。いまはSNSなどで積極的に発信する人も多い。ですが、声なきこえを拾い上げるのが報道の大事な仕事。初対面、しかも画面越しでどこまで心を打ち解けてもらえるか。工夫が必要だと感じています」。

また、影響は番組のテーマ選びにも及ぶ。「(新型コロナ以前は)ご近所トラブルなど怒り不満の感情を取り上げる取材が多かったように思います。コロナ禍で、日本中の人々が苦しい思いをしたり、我慢を強いられたりしている今、“人を助けたい想い”や“誰かを支援している”事例を取り上げることが増えました」。企業のメディアリレーションにおいても、“支援”“社会貢献”の姿勢は欠かせないものとなりそうだ。

時代性と熱意に動かされる

そんな中、自社の商品やサービスが『Nスタ』にどうしたら取り上げられるか。広報担当としては、大いに気になるだろう。

「意識しているのは、私たちは報道番組であるということ。ただの商品宣伝にならないようにしています。これをなぜ、“今”取り上げるのか...

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