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共感を集める「言葉」の開発

振袖進呈にコピー添えて 失意の新成人から多くの共感得る

京都きもの友禅

2021年の成人式はコロナの影響で中止・延期が相次いだ。人生で一度の晴れ舞台。用意していた振袖を着る機会を失い悲しみに暮れる新成人に、京都きもの友禅が反応。その対応と、そこに添えられたキャッチコピーが多くの称賛の声を呼んでいる。

発表されたリリース資料の一部。まず2020年8月に同社のHPに掲載。その後、新型コロナの影響で成人式の開催が危ぶまれ、問い合わせが増えたことから、同年12月にPR TIMES上でも配信された。

    あなたのハタチに、「また来年ね」なんてないから。

コロナで2021年の成人式は全国各地で中止や延期に。そうした事態への京都きもの友禅の対応に、多くの共感が寄せられている。その対応とは、中止またはオンライン開催となった場合、振袖の購入金額に応じて商品券を進呈、レンタルした場合はその振袖一式を進呈する、などというものだ。さらに特徴的なのが、併記されたキャッチコピー「あなたのハタチに、『また来年ね』なんてないから。」。この発表を見た人からは、「こんな素敵な対応をしてくれていて感動してしまった」といった声が寄せられた。

実は夏の時点で発表していた

時系列を整理すると、実は同様の発表を2020年中に2回発表していた。その背景を、同社マーケティング部の根本マリオ氏はこう説明する。「成人式の振袖は早い方で2年前から準備を始めます。事前の写真撮影もあるため、成人の日の前年の夏には当日の振袖を決定(ご契約)している方がほとんどです。それゆえ、当社としては2020年春先、コロナが日本で流行し始めた頃から、すでに2021年の成人式の中止・延期の可能性も視野に社内で話し合いを始めていました」。

協議を経て、2020年6~7月ごろにはすでに、進呈などの対応が決定。夏場に成人式を行う自治体などもあるため、8月に同社HPで発表。その後、年末に近づき、コロナ関連の報道が増えるにつれ、対応に関する問い合わせが増えたことから、同年12月24日にプレスリリースとHPへの掲載をしたところ、SNSで拡散され、多くの人に届いた、という流れだ。

つまり、夏の時点で今回の対応の実施は既定路線だった。「当社の事業の根幹にはお客さまからの『信用・信頼』があります。それゆえ、レンタル規約に則って機械的に対応するのではなく、新成人の方々に振袖に袖を通す機会を持ってもらおう、我々からもお祝いをしようと。その考えを前提に様々な対応パターンを想定し、最終的に、コロナのリスク回避から、今の形になりました」。

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