社会からの信用が問われ、ビジネスに倫理が必要な時代。何らかの葛藤に直面した時、どう筋道を立てていけばいいのか、組織を取り巻く事象から考えます。
コロナ禍で、IR部門だけでなく広報部門でも、ESG(環境・社会・ガバナンス)という非財務情報の開示への関心が高まっています。投資家が投資する際、気候変動など環境問題への取り組み(E)、働き方改革など社会的課題(S)、BCP(事業継続計画)など健全なガバナンスの構築(G)といった情報もチェックするようになったからです。
なぜESG投資が注目されているのでしょうか。ESG投資の前身として、社会的責任投資(SRI)が挙げられます。社会的責任投資としてよく知られるのは「戦争に投資しない」「環境問題に投資する」といったソーシャル・スクリーンです。
20世紀初頭、欧米を中心に、キリスト教のいくつかの宗派が教会資金の運用で、戦争やタバコ、アルコールに関連する株式を「罪ある株式」と呼び、除外したのが始まりです。60・70年代、ベトナム戦争や南アのアパルトヘイトが世界的に問題になると、これらにかかわる企業に投資しない機関投資家も増えてきます。
日本では90年代になって環境問題に投資するソーシャル・スクリーンで運用された投資信託(SRIファンド)が登場します。日興アセットマネジメントの日興エコファンドです。2000年代にはCSR(企業の社会的責任)ブームによって、多くの金融機関が投資信託を通して社会的責任投資を始めました。
ところで、英ファンド・マネージャーのラッセル・スパークス氏によれば...