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リスク広報最前線

模倣疑惑に謝罪するも炎上、しかし真摯な謝罪が好転につながることも

浅見隆行

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

問題の経緯

2020年12月19日

©123RF.com

リスクの未然防止が大前提ではあるが、SNS炎上などクライシス発生後もいくつもターニングポイントは存在する。今回のを例に取ると、模倣疑惑の発覚後も、真摯な対応をしたROLANDはイメージを好転させた。この対応はぜひ見習いたい。


アパレル企業のdazzyが展開する「G&R」のドレスが、海外のブランド商品のデザインを模倣しているとTwitter上で指摘された。その後、同社は同月21日に「ドレスを担当したデザインチームのひとりが既存商品とほぼ同一と思われるデザインを提案してしまった」と説明。模倣を認めた。同ブランドにはタレントのROLAND、GACKT、門りょうがプロデューサーなどに就任していたことから、3者もそれぞれ本事案を受けてのコメントを発表していた。

2020年12月19日、dazzyが販売する「G&R」ブランドのドレスが海外のブランド商品のデザインを模倣しているのではないかとTwitter上で指摘されました。「G&R」はタレントのROLAND、GACKT、門りょうがプロデューサーなどに就任し、同月16日にブランドお披露目会を開催したばかりで注目を浴びていたこともあり、「パクリ」騒動として炎上するに至りました。

ただ、炎上した理由は、同月20日から21日にかけて、dazzy社の他、ROLAND、GACKT、門りょうが発信したコメントの内容も一因です。三者三様の内容で、それを見た消費者の反応も大きく異なりました。本事例を通じ、消費者から信頼を得られる謝罪と、そうでない謝罪の違いをお伝えしようと思います。

逆に賞賛を得ることになったROLANDの対応

どんな危機管理広報でも必要不可欠なのは、迅速な謝罪です。いまだに謝罪をすることは法的責任を認めることにつながると誤解して、あるいは謝罪をすることはプライドが許さないとの抵抗感から、謝罪をしないケースが稀に見られます。しかし、これは危機管理広報では最悪の選択です。

謝罪をすることと法的責任があると認めることはまったく別です。謝罪は、起こした不祥事によって迷惑をかけたことや不安にさせたことをお詫びする行為です。むしろ、企業の社会的責任の観点から、不祥事が明らかになれば最優先で謝罪をしなければならないと理解してもよいでしょう。

今回のケースを見ると、関係者の中でもっとも早く謝罪をしたのはROLANDでした。模倣であるとTwitterで指摘されたのは同月19日20時15分、これに対し、ROLANDは20日18時15分には「不快な思いをさせてしまった全ての皆様に謝罪させて頂きます。仕事を引き受け問題の商品をPRをした以上多大なる責任があると感じており深く反省しております。」などと謝罪コメントをTwitterに投稿し、21日には謝罪動画を...

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