固定観念を揺さぶることで新しい企画を生み出そう!
商品・サービスのコミュニケーションにおいて、社会との接点を考える視点は欠かせない要素だ。本稿では、従来の「固定観念」を揺さぶり、今の社会にマッチした価値観を生み出すポイントを解説。広報・PRを行う上での新しい企画発案の参考にしてもらいたい。
ニュースバリューを高める! 企画・発想
「社会に欠かせない事業を行っているものの、内容が複雑で価値を存分に伝えきれていない」。そんな課題を持つことが多いのが、BtoB領域のPRだ。ここでは、コロナ下において刻々と変化している社会の流れや意識の変化を把握し、PR活動につなげるBtoB企業の事例を見ていく。
2021年9月に発足するデジタル庁。その「フラッグシッププロジェクトになる」と平井卓也デジタル改革担当大臣が話したのが、電子インボイスの普及だ。インボイスとは適格請求書を指し、電子インボイスの仕組みが整えば、取引相手との請求書のやりとりがオンラインで円滑になる。2023年10月、インボイス制度(*)が導入されるが、紙での処理が前提だと、会計業務はより煩雑になる。そのため、日本全体で標準化された電子インボイスの仕組みの確立に、期待がかかっている。
事業者が消費者から預かった消費税を納付する際、仕入れ時に支払った消費税を差し引いて納めることができる。これを仕入税額控除というが、この控除を認める条件を、適格請求書等を受領した場合に限る、としたのがインボイス制度(適格請求書等保存方式)。2023年から導入される。適格請求書を発行できるのは、登録された課税事業者に限られ、管理が煩雑となるので、業務効率化のために電子インボイスの実現が期待されている。
業務ソフトウエア会社の弥生が代表幹事法人をつとめる、電子インボイス推進協議会(EIPA)は2020年12月、平井大臣を訪問。日本の電子インボイスの標準仕様について、多くの会社が集まるEIPAで議論を重ねてきたことを説明し、普及に向け、官民一体となった協力の要請を行った。そこで引き出したのが、冒頭の大臣の言葉である。
EIPA設立の旗振り役である弥生の岡本浩一郎社長が見据えるのは、電子インボイス普及だけではない。年末調整をはじめとした各種業務のプロセスを根底から見直すデジタル化の推進だ。実現に向け、行政との関係構築や業界連携を、どんな考えで行っているのか。
話は、2019年の夏まで遡る。岡本社長は、年末調整制度の難易度がここ数年で一段と上がり、業務ソフト提供会社として対応できる限界を感じていたという...