固定観念を揺さぶることで新しい企画を生み出そう!
商品・サービスのコミュニケーションにおいて、社会との接点を考える視点は欠かせない要素だ。本稿では、従来の「固定観念」を揺さぶり、今の社会にマッチした価値観を生み出すポイントを解説。広報・PRを行う上での新しい企画発案の参考にしてもらいたい。
ニュースバリューを高める! 企画・発想
「社会に欠かせない事業を行っているものの、内容が複雑で価値を存分に伝えきれていない」。そんな課題を持つことが多いのが、BtoB領域のPRだ。ここでは、コロナ下において刻々と変化している社会の流れや意識の変化を把握し、PR活動につなげるBtoB企業の事例を見ていく。
「物流は『経済の血流』とも言われ、新型コロナウイルスの影響が拡大する今も、決して業務を止めることはできない業界です」。
これは、企業間物流の最適化に挑む、物流スタートアップ、Hacobuが2020年3月に打ち出したリリースの一節だ。
リリースでは、倉庫の機能が停止すれば、人々の生活に大きな影響が出ることに言及。さらに、同社提供の物流管理ソリューションを使えば、トラック運転手が、物流施設の受付窓口と接触する機会を減らし、感染リスクを抑えられること、その機能を無償提供することを伝えた。
「私たちのサービスを使って社会に還元できることはないか。そう考え、コロナ下の物流で重要な『非接触』を実現できる機能の無償提供を決めました。告知後、メディアからの問い合わせや新規の契約につながり、反響がありました」とPR担当の清水健史氏は話す。
「運ぶを最適化する」。これが同社の掲げるミッションだ。物流業界は、人手不足が深刻化しており、2028年度にトラック運転手は約28万人不足すると推計されている。一方、トラックの割り振りといった業務は、FAXなどのアナログが主流。物流施設にはトラックが渋滞し、待ち時間が多いことや積載率の低さも問題になっている。こうした物流危機に対し、…