報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
日本テレビ放送網『所さんの目がテン!』DATA | |
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所ジョージがMCを務める日本テレビ放送網の『所さんの目がテン!』は、放送開始から30年以上続く科学バラエティ番組だ。“身近な話題について科学的に解明する”をコンセプトに動植物や食べ物、環境問題に至るまで、様々なテーマの秘密に「科学」という切り口で迫る。
ターゲット層は子どもからお年寄りまで幅広い。難しいテーマも、子どもでも理解できるよう分かりやすく解説。「所さんのユニークなコメントが、番組に親しみやすさを生んでくれています」と語るのは、同番組プロデューサーの似鳥利行氏だ。
社会課題×番組“らしさ”
番組誕生の1989年から31年間、時代の変化に応じ、テーマも変えてきた。かつては、より生活に密着した素朴な疑問を解決する、いわゆる“おもしろ実験”企画が多かったが、似鳥氏が担当になった2012年以降は、環境問題や気候変動などの硬派なテーマも扱うようになったという。
「社会が今抱えている課題も分かりやすくお茶の間に届けることで、社会に貢献できる番組にしたいという思いがありました」と語る似鳥氏。
だが、難しい話題をそのまま視聴者に問題提起するだけでは、視聴者の関心を得られない。ポイントは『所さんの目がテン!』らしく、身近な興味ある話題とうまく組み合わせて親しみやすさを創出することだ。
その一例が、夏休み恒例の海外特集でグリーンランドを訪れた回だ(「グリーンランドの科学・グルメ編」2017年8月6日放送)。温暖化の影響で氷が大量に解けているという現状を取り上げ、視聴者に環境問題について考えてもらうことを狙った。しかし「環境問題の部分だけを見せても教育番組的で堅くなってしまいます」(似鳥氏)。そこで現地では、24時間太陽が沈まない白夜を利用した干物づくりに挑戦するべく、太陽に合わせて動く干物マシーンを手づくり。24時間太陽光に魚を当て続ける「白夜干し」の実験を行った。
「番組のDNAである『“おもしろ実験”をやってみよう!』という姿勢で、まずは北極圏という場所に興味を持ってもらってから、さりげなく環境問題の現状を伝える。押し付けがましくならないように工夫しています」。
毎回の企画テーマは、放送作家や制作会社の担当者が集う企画会議で決める。中にはリリースが端緒となって企画につながることもあるというが、「基本的に宣伝にならないように...