企業の広報戦略・経営戦略を分析するプロが、データドリブンな企業ブランディングのこれからをひも解きます
今回のポイント | |
---|---|
① 新型コロナの経験から、多くの企業がBCPに課題 | |
②「想定外」に備えるための工夫・継続的改善が重要 | |
③ 情報収集やコミュニケーションが強化ポイントに |
新型コロナウイルスの感染拡大は、いまだ終息の見通しが立ちません。未曾有の危機に対して、国内の企業はどう向き合ってきたのでしょうか。
働き方への対応が急務に
当研究所では、企業のコロナ禍への対応実態を3回にわたって調査しました。1回目は流行当初の2020年2月末、2回目は緊急事態宣言が出された直後の4月中旬、3回目は緊急事態宣言が解除された後の6月下旬です。
感染拡大当初(第1回調査)、企業が検討していた対策は、①「在宅勤務・テレワークの導入」63%、②「リスクマネジメントに関する情報収集の強化」57%、③「BCP(事業継続計画)の見直し」56%で50%を超えました。以下、④「フレックス制度の活用」48%、⑤「オンライン上でのコミュニケーションツールの導入推進」45%などが続きます。(図1)
この段階で多くの企業が、在宅勤務・テレワークへの移行を最優先課題として検討していたことが分かります。また、これ以降に大きな経営判断を迫られる可能性を見越して、感染拡大初期から“情報収集の強化”を重要視していることが見て取れます。
BCP見直し、注目度高まる
2020年6月、緊急事態宣言が解除された後の段階になると(第3回調査)、①「BCPの見直し」66%が最も多く、以下②「在宅勤務・テレワークの導入」65%、③「オンライン上でのコミュニケーションツールの導入推進」58%が上位3つを占めました。(図2)
緊急事態宣言は解除されたものの、事態の長期化がいよいよ確定的になったこの時期、“BCPの見直し”が最優先課題となりました。深刻化の一途をたどる状況を受け、根本的・将来的な対応戦略の見直しに踏み切った企業が数多くあった背景がうかがえます。
想定外のリスクに備える
一方で従来からBCPを策定していた企業95社では、BCPの効果については...