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企業倫理から考える広報

「なぜハラスメントは不正なのか」まで遡って考える──リモハラの登場

杉本俊介(大阪経済大学)

社会からの信用が問われ、ビジネスに倫理が必要な時代。何らかの葛藤に直面した時、どう筋道を立てていけばいいのか、組織を取り巻く事象から考えます。

コロナ禍でリモートワークが進み、リモート・ハラスメント(リモハラ)が問題になっています。室内の様子を映すように求められた。業務時間中ずっとカメラオンを指示された。オンライン飲み会を強要された。ハラスメントであれば、使用者責任も問われる事態です。

ハラスメントとは嫌がらせのことです。相手が嫌だと思うことをしない、まずはこれが大事です。ところが、何を嫌だと思うかは人それぞれ。何をもってハラスメントだとみなすべきか。これまでセクハラやパワハラなど、ハラスメントの定義(あるいは類型)がさかんに議論されてきました。しかし、ハラスメントの定義よりも「なぜハラスメントは不正なのか」と根拠を考えてみるべきです。倫理学では帰結、行為、動機のどれに着目するかで三つの考え方があります()。

図 倫理学の三つの考え方

ハラスメントが不正な理由

一つ目は、ハラスメントが相手を不幸にするからです。一般に、ある行為が正しいのは、その行為の帰結として、できるだけ多くの人ができるだけ幸福になることだ(最大多数の最大幸福)と考えます。この考え方は...

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