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実践!プレスリリース道場

ご当地カレーの初回生産分が10日間で完売

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

これまでも何度か取り上げてきた共同リリースは、「出したいのでアドバイスしてほしい」と相談を受けることが多いテーマのひとつです。

ただ、いざ出そうとすると、お互いの社内事情のため載せられない情報ばかりで、妥協の末に薄っぺらい内容になってしまいがち。そんな中、最近、私自身が共同リリースを出す機会があったのでご紹介します。お互いの役割分担がはっきり分かれていればうまくいくという一例です。

案件は、埼玉県の加須市地域雇用創造協議会が企画した「アスメシカレー」というレトルトカレー。地域の商品をつくることで雇用も生み出すという、厚生労働省の事業に沿った商品です。私が加須市の観光大使を務めていることもあり、この商品の開発全体のフレームワークをプロデュースすることになりました。

あまり知られていないかもしれませんが、加須市はイチジクが名産品です。しかしイチジクを入れただけでは、珍しさはあれど“ご当地カレー”としては少し工夫が足りません。かといって観光名所は少なく商品企画に取り入れることができません。

そこで着目したのがスポーツの強豪校。甲子園での優勝経験もある花咲徳栄高校には料理人を育成する食育実践科があるため、生徒たちと共同開発することにしたのです。

同科では以前から運動部員の体力向上に役立つメニューを考案してアスメシ(アスリート飯)と名づけており、響きもよいことから、商品名は「アスメシカレー」としました。

また現在は、鶏のささみ肉を主食にしたり、ヨーグルトにプロテインを入れたり、健康を考えてタンパク質を摂取することがブームになっています。このカレーにも鶏むね肉とコラーゲンペプチドで1食あたり30gを超えるタンパク質を入れるよう設計しました。

最初にこの企画が持ち上がったのは2年ほど前のこと。私も同校に何度か出かけて講義を行い、食育実践科の生徒たちも真剣に聞いてくれました。彼らにスパイスの一つひとつの特徴などを説明するときちんと理解してくれて、やはりプロを目指す人たちだなと感心させられました。

最後は生徒たちが数組に分かれてつくった候補作を、私と市内レストランのオーナーが審査して採用メニューを決定。味を調整し、ハウス食品の子会社・サンハウス食品に商品化してもらいました。試行錯誤を重ねたおかげで、おいしいカレーができあがったと思います。

ヨコではなくタテで展開

リリースは、私が代表を務めるカレー総合研究所と加須市地域雇用創造協議会から配信することにしました。共同リリースは同日に2社から出す“ヨコ展開”のケースがほとんどですが、今回工夫したのは、カレー総研は7月3日、加須市は10日と配信日をずらして“タテ展開”にしたことです。

ではまず、カレー総研のリリースを見てください。こちらはすべての情報を盛り込んでいます。(ポイント1)共同リリースは、両者に盛り込みたい内容があり情報量が多くなるので、それを簡潔にまとめることが必要です。


リリースの1枚目に入れたのは商品の基本情報と5大ポイント、発売する目的の3つ。必要最小限の情報を入れ込み、1枚でも成立するようにしています。2枚目からは参考資料として花咲徳栄高校や加須市のイチジク、タンパク質ブームなどを解説。3枚目はカレー総研が出すこともあって、ご当地カレーに関する基礎知識を、4枚目にはカレー大學とカレー総研の説明を載せました。

続いてお見せするのが、加須市が1週間後に出した記者発表のリリースです。(ポイント2)こちらはカレー総研のリリースのうち、特に重要な部分を抜粋して編集しています。

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