役員が自ら起こした問題で辞任へ ガバナンスが機能していることを示すには?
2024年10月28日、オリンパスのシュテファン・カウフマン取締役代表執行役社長兼CEO(最高経営責任者)が辞任しました。違法薬物を購入していたと同社に通報があったことがきっかけです。なお、カウフマン氏は、11月27日に麻薬特例法違反で起訴されています。今回は、このケースを題材に、企業の役員が起こした問題について責任を問う場面での危機管理広報について解説します。
リスク広報最前線
複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
東洋水産の「マルちゃん正麺」は2020年11月11日、同ブランドをPRする漫画を公開した。しかし、「(父親と子どもが)食べた後の食器を奥さんにも洗わせているので台無し」などの批判が寄せられ、同月13日を予定していた第2話の公開を延期する事態となった。同社はその後、「いただいたご意見を真摯に受け止め、次回以降の内容を精査したうえで本作品の公開を11月25日(水)に再開いたします。(原文ママ)」と発表した。
2020年11月11日、東洋水産の「マルちゃん正麺」のTwitter公式アカウントがPR用マンガ「親子正麺 第1話」を投稿したところ、一部から批判の声が寄せられ、同月13日には第2話以降の延期を発表する事態となりました。
内容は、父親と子どもが一緒にマルちゃん正麺を食べ、帰宅した母親が父親と一緒に食器を片付けるというストーリー。これに対して、「奥さんにも洗わせているので台無し」などの批判の声が寄せられたのです。他方で、「モンスタークレーマー」「難癖」「息苦しい世界」などの声もあり、意見は分かれています。
そこで、今回は、受け手の意見が対立するような企業PRに対して、企業はどういうスタンスでいるべきかについて危機管理の観点から検討します。
今回の炎上は、夫婦の役割分担に関連した、いわゆるジェンダーが問題になっているものです。ジェンダーが問題となって炎上した広告はこれが初めてではありません。古くは、1975年にハウス食品の「ハウスシャンメンしょうゆ味」で使用した「私作る人、僕食べる人」というコピーが女性差別として炎上しました。
2020年下半期には、10月にタカラトミーのTwitter公式アカウントがリカちゃん人形に関して「とある筋から入手した、某小学5年生の女の子の個人情報を暴露しちゃいますね…!」と投稿したところ「児童に対して性的な目線を向けている」と批判が集まり炎上。2020年11月にはタイツメーカーのアツギがTwitterで萌え絵と呼ばれるイラストを使って「ラブタイツキャンペーン」を実施したところ「性的で怖い」などの声が集まり、謝罪するに至りました。
今回のマルちゃん正麺のマンガは、萌え絵を使用していない、性的な部分はない、むしろ子どもの面倒を父親が見て母親は...