コロナ下で変化した取材方法~広報の活動調査 メディア対応編
2011年調査開始以来、不動の1位は「メディアリレーションズ」であった。コロナ下でのコミュニケーション方法、設計の変化にも注目したい。
コロナショックの挽回を図るため、2021年度はより計画的なPRが求められそうだ。そこで、経済広報センターの佐桑徹氏が、広報計画策定の上でのポイントを基本の「き」を抑えつつ、2021年度の特徴を踏まえ、解説してくれた。
●1月末頃までに、製品やサービスの発売時期などを各担当者に確認を取り、おおよその年間カレンダーを作成(電機・精密機器)
●毎年1~3月で翌年度の計画を立案している(電機・精密機器)
●毎年1月に広報計画を策定、これに合わせて経営会議で精査していく(不動産)
➡1月から計画の策定を開始する企業が多いものの、ウィズコロナで事業環境は不透明。どう動く?
企業の広報活動には、毎年同じ時期に必ず行う“年中行事”がある。4月の入社式での社長挨拶、記者クラブでの決算発表などだ。また、夏場の記者との納涼懇親会のようなものは、毎年固定化しておくのが好ましい。化繊業界ならば水着ショー、流通ならばお中元・お歳暮セール、この他、春夏秋冬のキャンペーン、クリスマス商戦など、業界ごとに固有の年中行事があるだろう。
企業によっては、経営トップが同じ時期に工場を訪問し、地元メディアと懇談する機会を設けているところもある。また、毎年、翌年の景気予測などを発表しているメディアから調査依頼が来ることも。
メディアの業界担当者も1年をひとつのサイクルと考えている。毎年のように担当記者が替わることもあるが、必ず前年の記事をスクラップ(クリッピング)で確認しながら何を書くかを考えたりしている。一方の企業の広報担当者も前年の発表リリースを見ながら、上書きしてリリースを作成したりしているだろう。まずは定番行事を押さえる、という意味でも前年度を上書きした計画でも構わない。次の段階で2021年度独自の要素を盛り込むポイントを押さえていこう。
次に、2020年度を振り返りつつ、新たに加わる①事業活動(経営戦略)②行事・イベント(周年行事、社屋・工場の新築、論文募集、イベント、オープンハウス)③年間重要広報テーマ(経営トップの人柄が分かる話題の提供など)を計画に落とし込む。
重要広報テーマについては連携の仕方も合わせて考えたい。例えば、ホールディングスの傘下企業同士、もしくは自社内工場・支店との連携、部署間であれば、マーケティングや人事・採用部門との連携などが挙げられよう。
さらに広報部内でも、ホームページ、イントラネット、社内報、マスコミ担当などとのメディアミックスをどう行えるかを計画の中で「見える化」し、効果的な実践を目指したい。そのためには各部門からのパブリシティ計画の提出を待つだけでなく、広報部員が工場や人事、営業、研究開発部門などに出向き、情報を収集することが望ましい。
来年度が2021年と切りがよいことから2021年度から新たな中期経営計画がスタートする企業もあるだろう。その場合、言うまでもなく広報年次計画の前に、会社全体で新中期経営計画を検討・策定することになる。
流れは以下の通り。新中計に基づく事業戦略変更に伴い、①広報戦略の見直し ②重点広報テーマと広報ターゲットの見直し ③予算・広報の人員配置の見直し、だ。その後に2021年度の広報年次計画となる。
さらに...