コロナの影響で、社内外でデジタル上でのコミュニケーションが活発化。その結果、企業の情報発信の場「オウンドメディア」への期待値も上がる。その中で理想のメディア設計とは。CINRAはストーリーブランディングが重要だと語る。
これまで社内外で50以上のオウンドメディアを手掛けてきたクリエイティブ・エージェンシーのCINRA。同社のプランナーである宮崎慎也氏は「これまでは多くの企業が物理的なリアルなコミュニケーション手段に頼ってきましたが、今やそれだけでは困難な状態になりました」と話す。コロナ禍でデジタルメディアへのトラフィックは劇的に増加し、社内と社外の両方でオンラインコミュニケーションが活発化しているという。
こうした流れを背景に今後、より企業が顧客や社員を含めた、あらゆるステークホルダーとの接点として、オウンドメディアの活用が求められそうだ。
オウンドメディアにストーリーを
オウンドメディアの設計において、宮崎氏が重要だと指摘するのは、ストーリーブランディングの視点を取り入れることだ。秀逸なオウンドメディアは「読者をどんな物語に巻き込みたいのか」を精緻に設計した上で運営をしているという。「予めその方針やストーリーをきちんと設定していないと、CVやアクセス数など、数字だけを追うことにつながり、企画の枯渇の原因にもなってしまいます」。
ストーリーには様々な「型」がある。「例えば、成功していくまでの道すじを描いていく型や少年漫画などのようなどんどんパワーアップしていくような型、チームをつくって、ある目的をどのように達成していくのかを追っていく型などがあります」。そうした型を踏まえつつ、予めストーリーを設定し編集部員らとシェアした上で走らせることが肝要だという。
物語構築のための5つの視点
次に宮崎氏は、ストーリーを構成する上で欠かせない5つの視点、①ゴール(目的)②World(世界観)③シナリオ(ストーリータイプ)④Plan(編集方針)⑤シーン(企画・手法)について解説。「すべてのオウンドメディアにはまず達成したい目的(①)があり、それらをどんなコンセプトで方向付け(②)、どんなタイプのストーリーで語るのか(③)。そして、読み手に何をどう届け、行動変化をもたらすための編集方針(④)に沿いながら、SNS企画なのかインタビュー企画なのか、など企画の詳細を詰めてきます(⑤)」。
これら①~⑤の視点を、社員の士気や帰属意識を高めるなどの「インナー向け」か、ブランド発信やファンづくりなどを目的とした「アウター向け」かで、目的別に整理・設計することで、理想のオウンドメディアの構築が可能となる(図1)。
出所/CINRA
同社が設計に携わった事例として、三井化学「そざいの魅力ラボ」やマイナビ「MY FUTURE CAMPUS」を挙げる。前者は、“チームで目的を達成すること”を主眼に置き、後者は“悩みながら自ら発見していく”ストーリーを構築したという。
宮崎氏は最後に、オウンドメディアの成果の評価指標についても触れた。PV数やコメント数など様々だが、どれかひとつの数字のみに頼るのではなく、これもストーリーに立ち返り、どのような点を重視しているかを把握した上で指標を設定することが重要だと述べた。

CINRA
アカウントプランナー
宮崎慎也氏

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