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広報担当者のための企画書のつくり方入門

地域の魅力をPRするための企画書を書きたい! ポイントは?

片岡英彦(東京片岡英彦事務所 代表/企画家・コラムニスト・戦略PR事業)

「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画書が通らない……」。そんな悩める人のために、広報の活動別に企画を実現するポイントを伝授。筆者の実務経験をもとに、企画書作成に必要な視点を整理していきます。

地域PRにこそ重要な「企画書」

山形県にある東北芸術工科大学で教鞭を執って6年になる。地域に根ざしたプロジェクト活動が多いこともあり、何度か山形県やお隣の宮城県からの依頼でPR関連の仕事を手伝わせて頂いた。いずれも依頼目的が明確で、期間や内容も具体的だったのでとても協力しやすかった。

一方で、地方公共団体や準ずる地域団体から、PR支援のご依頼を頂く場合に、何度か困ってしまった経験がある。それは、
❶「広報・PR」の活動の結果として達成できること ❷「広報・PR」では解決できないこと
この2つが混在した状態で依頼される時だ。

東京などの大きな自治体や大企業におけるPR活動と違い、規模の小さな自治体や地域にある企業の、予算規模や人的リソースはどこも豊富ではない。限られた人数と予算で広範囲の業務に責任を負わなくてはならない。地域ならではの複雑なルール(しがらみ)があって、オンライン以外の広報・PR活動が自由に行いにくいケースもある。またいわゆる「縦割り」により県境など複数エリアをまたぐPR活動の場合、相乗効果が出しにくいこともある。

こうした地域ならではの事情もあり、地域PRは企画や業務の範囲が、いわゆる「PR実務」を超えた調整業務や、PR活動と言えるのかが微妙な領域の活動まで広がり「何でもかんでも」になりやすいのだ。

もちろん杓子定規なことを言うつもりはない。私自身は多少の専門外の領域であっても“ガッツ”と“好奇心”で「何でもかんでも」やりたがってしまうのだが、何分、効率(手離れとコスパ)が悪い。“ガッツ”がかえって仇になってしまうことさえある。

こんな経験から改めて思うことは地域PRにおける「企画書作成」の重要性だ。通常は「与件整理」から始まり「調査・分析」「課題設定」など、“お決まり”の構成がある。規模が小さなプロジェクトの場合、この“お決まり”の構成を面倒くさがり、会議の開催➡議事録作成➡PR活動の実施➡報告書作成で済まそうとする人もいる。

だが地域PRに関しては、なるべく最初の段階から、しっかりとした企画書(詳細はなくてもいいので、コンセプトと全体プランでよい)の作成をお勧めしている。地域PRのような限られたリソースに、複雑なステークホルダー(利害関係者)が時に大勢かかわるプロジェクトほど、まずは「大きな絵」のあるなしの差が後から影響してくる。

感覚的な話になってしまうが、地域においては首都圏よりも「広報・PR」への潜在的な期待値が高いと考えている。「広告」という手法がどうしてもメディアの「枠」の購入に費用がかかるのに対して、「広報・PR」では必ずしも「枠」の購入を行わないため費用がかからない(制作費や作業費は別)。このため「費用のかからない広告(販促)」(本来は違うのだが……)としてPRが安易に考えられていることも未だ多い。この点には注意が必要でもある。

①「広報・PR」の活動の結果として達成できること
②「広報・PR」では解決できないこと

を分ける

➡リソースが限られ、関係者が多い地域PRこそ最初に「コンセプト」と「全体プラン」を

図1 地域PRで最初に確認すること

広報・PRでできること、できないこと

地域におけるPRの企画書を準備する際、最初に本プロジェクトにおける「広報・PR」という言葉の整理(定義)と、「広報・PR」の活動において「できること」「できないこと」を明確にすることを勧めている。

例えばマスメディアに対して、地域の話題が報道されるようアプローチはできるが、無料で自社商品を宣伝してもらうことはできない、といったことだ(図2を参照)。

対マスメディア

できること

●マスメディアで地域の話題が報道されるようにメディアにアプローチすること

できないこと

●マスメディアで自社の商品を無料で広告枠を使って宣伝してもらうこと

対住民

できること

●地域の話題をポジティブに多くの住民に伝えること

できないこと

●地域の活性化を行い、地域経済を立て直すこと

SNSの利用

できること

●SNSを活用して、地域の情報を発信し、地域のファンと長期的に交流すること

できないこと

●SNSを活用して、売れていない商品の認知を拡大し、ヒット商品にすること

有事の対応

できること

●災害情報や緊急情報を一刻も早く正確に配信すること

できないこと

●災害発生時や緊急時に住民を正しい避難場所に避難させること

図2 広報・PR活動でできること、できないことの例

もちろん「できないこと」を企画書に記載すると、提案先から「期待はずれ」「冷たい」「不十分」という印象を持たれることがある(一般的には企画書は大風呂敷を広げるほうがウケはよい)。

しかし、「あれもこれも」と思われがちな地域PRの活動で、実現できることの範囲について、まずはしっかり定めること。このことが結果的にはPR活動の成功と互いの長期的な信頼にもつながる。

企画書は本来「できること=約束」を記載する資料だが、地域PRの企画書では特に、業務の範疇外の事柄を明確にするためにも、「できないこと」は「できない」と躊躇せずに書く。そうすることで本来の「企画」の内容がより明確になるのだと考える。

視点1
「地域活性化」をテーマにした企画の全体プランを立てる

まずは地域が盛り上がること、PRで何ができる?

自治体など公共団体か、地域にある一般企業かを問わず、広報・PRに期待される重要な役割の一つは「地域活性化」だ。自分たちの地域がもっと活性化して豊かになってほしい。この思いは地域の関係者であれば誰もが共有できる。「地域活性化」というテーマで企画書を作成する際に「できること」「できないこと」を整理すると以下のようになる。

できること

●地域の魅力とは何か発見し定義(言語化)する
●数多くある魅力の中で、広報・PR活動に相応しい魅力を選ぶ
●魅力を可視化する(ビジュアライズ)
●どうやって伝えたらいいか提案する(コミュニケーション戦略)
●コミュニケーション活動(メディアリレーションズ)
●効果測定を行い成果の分析をする

できないこと

●地域の魅力を1から生み出すこと( 地域産業を興すこと、起業家を生み育てること)
●地域の魅力と関係ない話題( 代表者の生い立ち)を全国に広報・PRすること
●地域性のない活動やイベントを実行し全国から集客すること
●魅力に乏しい話題を“コネ”で地元メディアに掲載すること
●話題性のない情報でメディア関係者を多く集め記者会見を実施すること
●パブリシティ活動による媒体露出を事前にコミットすること

図3 地域活性化をテーマにした広報・PR(企画書内)でできること・できないこと

視点2
他の地域にないコンセプトをつくる

地域としての魅力を明確にする

企画書の核となるのは「地域(商品)としての魅力」は何か。これを明確に定義することだ。この時に注意したいのは...

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