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広報メディア温故知新

存在価値を高める企業博物館

飯田 豊(立命館大学)

広報活動には、新しいメディアが積極的に使われています。メディア史の観点から考察すると、どのような期待のもと、メディア利用がなされているのか、その本質が見えてきます。

※本原稿は2020年11月に執筆したものです

企業博物館()が脚光を浴びた年、と言えば2019年度。その筆頭に挙げられるのは、滋賀県長浜市の「ヤンマーミュージアム」(2013年開館)でしょう。佐藤可士和氏をクリエイティブディレクターに迎え、2019年10月にリニューアルを果たしました。

もともと企業博物館には様々な役割があります。史料の保存や創業者の顕彰など、産業や企業の歴史に特化している施設もあれば、最先端の技術を呈示することに重点を置いている施設もあります。当初は企業の宣伝活動や広報活動が主目的でしたが、やがて社会貢献やCSRといった観点が加わりました。また、社員教育としての利用が全体の半数を占めている博物館もあります。

横浜のみなとみらい地区はもともと企業博物館が多い地域ですが、資生堂が2019年4月、博物館機能を備えた研究開発拠点として「グローバルイノベーションセンター」を開設、そして京浜急行電鉄が2020年1月に「京急ミュージアム」を開館し、さらなる集中が進んでいます。また「三菱みなとみらい技術館」(1994年開館)は段階的にリニューアルを行っています。

2000年代以降、「経験経済」や「モノからコトへ」といった消費動向を踏まえて、企業理念を体感できる企業博物館が増えていきましたが、「体験型」ないし「コミュニケーション重視」であるがゆえに、コロナ禍によって大きな難局を迎えています。

臨時休館がまだ続いている博物館もありますし、そうでなくてもイベント自粛をはじめとする業務縮小を余儀なくされ、徹底した感染症対策が求められています。社内見学や工場見学についても...

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