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大学広報ゼミナール

業界内でのポジション理解 自校の使命に沿った広報を

谷ノ内 識(追手門学院大学)

今回は筆者自身も含め、大学広報担当者なら誰もが思い悩むであろう、大学のブランディングとコミュニケーション戦略を取り上げます。このテーマは様々な媒体で取り扱われ、成功を収めたと評価される大学は講演をしたり、取材を受けたりして巷には様々な実践事例が溢れています。図表1にもありますが、ブランディングの取り組みであるブランド戦略は、多くの国立大学や私立大学の広報部門で取り組まれています。特に規模が大きくなるほどその傾向は強いです。

図表1 広報担当部署で行っている広報業務の一部
出所/文部科学省大臣官房総務課広報室「大学等の広報に関するアンケート調査結果」、2012年10月
*学生数別の対象校には国公私立大学のほか、公立短期大学および私立短期大学を含む。
*学生数別の内、1万人以上の対象校は大学のみ。

大学ブランディングの実態

大学業界のブランディングで注目されたのは2004年にスタートした明治学院大学であり、関西では2011年にスタートした龍谷大学、2016年スタートの神戸女学院大学は記憶に新しいところです。一方、コミュニケーション戦略の代表は近畿大学であり、追手門学院大学もこの部類に入ります。

さらに2016年度には、特色ある研究を基軸に全学的な独自色を打ち出そうとする私立大学を支援する「私立大学研究ブランディング事業」が文部科学省によって始められ、もはやブランディングは広報的な意味合いだけではなく、大学の特色化の取り組みの意味としても使われています。

両者の違いは、筆者なりに定義すると、ブランディングは「あるべき(もしくは、ありたい)イメージを予め設定し、そのイメージに近づけていくための広報を含めた取り組み」、コミュニケーション戦略は「社会的評価を上げる(社会的に注目される)ためにメディア露出を増やす戦略的な取り組み」であると考えます。前者が「先にイメージの枠をつくる」のに対して、後者は「目指したいイメージはあるものの、それは取り組みの結果として形成される」という違いもあります。

しかし、そもそもブランディングとコミュニケーション戦略がカバーしている範囲は異なります。前者が大学の在り方を含めた全学的なものであるのに対して、後者は広報活動中心です。ブランディングとコミュニケーション戦略は対立するものではなく、むしろブランディングの中にコミュニケーション戦略が含まれるといえるかもしれません。

外部の評価が前提となる経営戦略

本連載2回目で提示した大学広報の発展段階で考えるとブランディングもコミュニケーション戦略も第2段階(*1)からとられる取り組みです...

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