2018年開学の長野県立大学。理事長は元ソニーの社長兼COOの安藤国威氏だ。「グローバルに活躍できるリーダーとなる人材の育成」を建学の精神に掲げる。「ゆくゆくは長野からGAFAに比肩する起業家を輩出させたい」と、その展望を語ってくれた。
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広報業務を所管するのは「学務課 入試・広報室」の4人。理念の発信には、公式サイト他、大学案内や、新聞広告などを活用している。 |
長野県立大の理事長である安藤国威氏はソニーでPCブランド「VAIO」他、生命保険など新事業立ち上げに携わり、2000年には同社社長兼COOなどを歴任。2018年から現職という異例の経歴を持つ。「from 0 to 1」をモットーに、阿部守一長野県知事から今のポストへの打診があったときも、“新しいことへの挑戦”に心惹かれたから引き受けたのだ、と語る。
そんな安藤氏の率いる同大の建学の精神が「グローバルに活躍できるリーダーとなる人材の育成」だ。これには、グローバル化の遅れの対応や、長野の地域活性化を目指す想いがあった。
グローバル化推し進める理由
よく「日本はグローバル化が遅れている」と言われる。その理由のひとつを、安藤氏は大学生の生活習慣の違いにみる。同氏いわく、日本の学生は、高校卒業時は世界でも高い学力を誇るが、大学卒業後は、IMDの学力人材ランキングでも先進国の中で最下位近くにまで下がる。なぜか。「例えば、米国では、学生が大学在学中にMBA取得などを目指し、熱心に勉強。専門性を身に付けた上で入社後すぐに会社の即戦力になれるよう備えます」。また、在学中の起業も多い。
一方、日本は、「卒業後に企業に入社して初めてビジネスに触れる、という人も。この人材の育て方では世界には到底太刀打ちできません」(安藤氏)。そう考えた末、在学中の海外経験に加え、起業を全面的にバックアップする大学を目指すこととなった。
ちなみに安藤氏は学生時代、2年の米国留学経験を持つ。その時ニューヨークの五番街で偶然見つけたのがソニーのショールームだった。小型のテープレコーダーや白黒マイクロテレビなど、当時はまだ珍しく、「こんなユニークなものを開発している企業があるのか、と驚きました」と述懐する。
さらに、同社創業者・盛田昭夫氏の著書『学歴無用論』の内容にも...