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建学の精神が浸透する 大学広報ケーススタディ

コロナで崩された「ノーマル」 今こそ理念に立ち返る企業と大学

石川 淳(電通)

新型コロナの影響で私たちは「ノーマル」について改めて精査し始めました。そこで立ち返るべきが「理念」であり、大学でいう「建学の精神」。企業と大学広報の相違点に触れつつ、両者の広報に今なぜ理念が重要かを改めて考えます。

人は危機に直面すると初心に返ります。感染防止で3密はダメ、ソーシャル・ディスタンスを保ち、元気よく会話することもしない、このままでいいのか?リモートワークはいつまで続くのか?行動をデータで把握され、統制されるのは耐えられない⋯⋯。

疑問を感じながらもこうした作法を続けていると、誰かが至近距離に立つだけでドキッとします(でも、これっていけないことだったっけ?)。いいえ、そんなはずはありません。人間とは密に接し、触れ合う社会的動物です。自分の信念や価値観を再点検すると、それまでの日常でそれらを疎かにしていたと気づきます。その意味では、危機もポジティブに捉えることができます。

企業や大学といった組織も同様に創業理念や建学の精神に立ち返る機会が訪れています。リモートワークやインターネット授業の便利さと同時に、商談やゼミ活動などは対面でこそ意味があると改めて確認しました。ノーマルに新たな日常をブレンドするのがニューノーマルなのです。こうした現状を踏まえながら、本稿では、コロナ禍のもとでの広報について、企業と大学の共通点と相違点を整理します。

理念に立ち返ることの意味

理念には3階層があり、組織が立ち返るのがMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)です。これらは企業の創業理念や大学の建学の精神に具体に書かれています。より浅くには仕事の仕方、指針といったものがあり、逆に深いほうの哲学レベルには、人類普遍の真理、大原則である自然法思想があると筆者は整理しています(図表1)。

図表1 理念の3階層

出所/筆者作成

レベル1にあたる活動方針や事業戦略は、コロナ禍で大きく変化しました。休業要請は死活問題ですし、ソーシャル・ディスタンスやリモートが長期化して、人は戸惑い、疑問を感じています。従来ではあり得ない考え方や行動をなかなか合理化できず、困っている。こうした時こそレベル2に立ち返り、これからの行動指針を定めようというわけです。

大学と企業の広報の違い

ここで、企業と大学とでは...

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