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記者の行動原理を読む広報術

出身部署で異なる記者の特徴 タイプを整理し、最適な人材を選ぼう

松林 薫

昨今、企業の副業認可の話を聞くが、「専門性」の高い業務は副業に適している。思えば広報も社内報作成や対メディアへの渉外力など高い専門性が求められる。そして、そんなスキルをすでに身に付けた業種の人たちがいる。「記者」だ。

ここ数年、知っている記者の転職を耳にする機会が増えた。新聞業界で希望退職を募る社が相次いでいるからだ。今後もコロナ禍による業績悪化がその流れに拍車をかけるだろう。

これは記者にとっては不幸なことだが、新興ネットメディアなど他業界にとってはチャンスでもある。報道現場で経験を積んだ即戦力を獲得しやすくなるからだ。広報もそうした分野のひとつだろう。かつては定年退職した記者が顧問などとして雇われていたが、最近は現役バリバリの記者が新聞社を辞めて広報要員になるケースも珍しくない。今回は、広報部門で記者出身者を採用する際、どんな点に着目すればよいのか考えてみたい。

記者経験者に期待するのは3つ

広報というポストが記者経験者に期待する役割は主に❶情報発信 ❷情報収集 ❸危機対応、だろう。3つのうちどれを重視するかは業種や企業規模などによって異なる。

例えば、消費者や投資家へのアピールが課題になるベンチャー企業では❶が最重要になる。テレビや新聞などへのポジティブな露出が増えれば、広告費をかけずに自社の知名度や信頼度を高められるだろう。一方、金融など監督官庁の影響を受けやすい業種では、政治家や役所の動きを事前に察知する必要があるため❷を重視する。そして、事故や不祥事、業績不振などで記者会見を開くことが多い業界なら❸に期待するはずだ。

部署ごとに異なる記者の特徴

では、それぞれの役割に適しているのはどんな記者か。まず、経験してきた部署との関係で考えてみよう。取り上げるのは、「社会部」「政治部」「経済部」、そして「企画系」の記者だ。

新商品を紙面や番組で取り上げてもらえるように売り込んだり、オウンドメディアなどで紹介したりする情報発信に適しているのは、企業ネタを担当する経済部の出身者だ(日経の場合はさらに細かく企業報道部、経済部、証券部などに分かれている)。商品のどういった面をアピールすれば記者が飛びつくかを熟知しているし、他社も含め同じ分野の記者との人脈も豊富だからだ。一方、地域の話題や流行りものなどを紹介する「街ネタ」は社会部が担当している。こうした軽い話題ものについては社会部出身の記者も土地勘がある。

商品の比較や使い方のノウハウなどを分かりやすく紹介する記事については、ニュース部門よりは生活部など「企画系」の記者が得意としている。雑誌の特集やテレビ番組の担当者に、企画のアイデア(切り口)も合わせて提案する能力が高いといえる。また、科学部や解説部などの出身者は、素人には難しい専門知識を噛み砕いて表現できるため...

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