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実践!プレスリリース道場

コロナ下にいち早い調査リリース 掲載数は2.5倍に

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

以前も特集したことがありますが、企業などが出す調査リリースは年々、増加傾向にあります。

しかし、メディアへの掲載率はあまり高くありません。というのも自社製品アピールの一環という目論見がみえみえであったり、調査対象が少なく安易につくられた内容だったりするケースが多いからです。

ただ、新型コロナウイルス感染症の問題が深刻化してからは、各メディアがニュースソースとして調査リリースを活用しています。社会や市場が急激に変化し、先行き不透明な状況を調査データで把握しようとメディアも考えており、調査リリースへのニーズが高まっているのです。

そのような背景から今回は、AIを活用して企業支援や社会課題の解決をするエクサウィザーズの調査リリースを紹介します。同社は、現実化しつつある超高齢化社会における介護問題や労働人口問題など、多くの課題を見据えている企業です。

調査内容を見ると、企業はコロナ禍の影響がどのくらい続くと感じているか、その対策として取り組んでいる内容に加え、DX(デジタルトランスフォーメーション:ITの進化でビジネスチェンジを図ること)推進やAI活用への意識も調査している点が同社ならではといえます。

取材時点で第3弾まで配信したうち、第1弾の調査は4月22日、配信を5月11日に行っています。同社では全国に緊急事態宣言が出される中、いち早く4月22日に、アフターコロナのDXやAI活用に関する無料オンラインセミナーを実施し、1400人が参加しました。アンケートは、このセミナー参加者を対象に実施したものです。

「日ごろから付き合いのある企業に声をかけただけで、特に広告宣伝などはしませんでしたが、TwitterやSNSで広まり、予想をはるかに超える方にご参加いただけました」と広報部部長の古屋涼さん。企業の「何かしなくては」という危機感の表れでしょう。

実は同社の調査リリースはこれが初めてですが、プロダクトだけでは案件に限界があるため、以前から一度配信してみたいと考えていたそうです。このアンケート調査も、当初は社内や営業資料に使うのが主目的で、メディアに対しては調査結果次第で配信するかどうか考える予定でした。ところが興味深い結果が出たため、すぐに配信を決定。できるだけ早く配信したいとGW中に休日返上でリリースをつくり、5月11日に配信したそうです。

結果を引き出す設問設定

セミナーで登壇したのはAI活用の専門家である同社役員で、アンケートもその方が分析しましたが、設問には広報の意向も盛り込まれました。古屋さんはその時点でメディアに出ている多くのアンケート調査に目を通し、当時すでに出ていた「売り上げが減る」「テレワークを導入している」といった結果と重複しないこと、そして読んだ人にとって「どう行動すべきか」の参考になるような結果を引き出せる設問を意識したそうです。

経営に与える影響についても、半年程度の短いスパンの調査結果しか出ていませんでした。しかし、社員の間ではリーマンショック時の経験から、企業活動に影響が出るのはさらにあとだと分かっていたことから、より長いスパンの設定にしたところ、予想通りの回答が得られました。

では、そのリリースを見てみましょう。(ポイント1)調査リリースは情報が多く、どうしても枚数が多くなりがちですが、第1弾は2枚、第2弾は5枚、第3弾は3枚と、多くても5枚でまとめています。あまり多くなると敬遠されてしまうので、少数精鋭の情報で構成するのが基本です。

(ポイント2)私が面白いと感じたのは...

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