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広報担当者のための企画書のつくり方入門

コロナ禍で重視される 採用PRの企画書を書きたい!ポイントは?

片岡英彦(東京片岡英彦事務所 代表/企画家・コラムニスト・戦略PR事業)

「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画書が通らない⋯⋯」。そんな悩める人のために、広報の活動別に企画を実現するポイントを伝授。筆者の実務経験をもとに、企画書作成に必要な視点を整理していきます。

ルールなき採用活動にどう臨むか

大学で教鞭を執り始めてから早くも6年目になる。毎年教え子である卒業生を社会に送り出す。一方で、企業からは「良い人材を採用するため、企業ブランディングを強化したい」とのご依頼も頂く。

企業と学生の双方の意見を聞いているうちに、自分に合った企業に入りたいと思う学生と、良い人材を採用したいと考える採用担当者との間の考え方の「ミスマッチ」を目の当たりにする。

「ミスマッチ」をどうやって“コミュニケーション”の力で解消できるか。これが採用PRの企画書作成における最重要の課題だと考えている。

つくづく採用PRは、コミュニケーション分野の幅広い領域の中で非常に難しいジャンルの一つだと思う(図1)。

環境の変化

●企業側の個別の事情によって採用計画(スケジュール等)はまちまち
●学生側のライフスタイルや将来像は多様化
●企業と学生との間のコミュニケーション方法が複雑化

PRの方法

定型(フレーム)化された一律の採用PRの方法がない。

➡自社独自の採用計画に基づいた採用PRの企画立案が必要に

図1 採用PRの企画立案が難しい理由

社員の採用に関する活動は、各企業の個別の事情によって戦略は大きく異なる。同じ業界、同じ規模の企業、そして同じ職種の人材募集であっても、企業の経営理念やカルチャーが異なれば求める人材像も異なり、採用の方法なども大きく異なる。さらに同じ企業であっても景気動向や会社事情により、今年と来年とでは採用計画は異なる。

かつては「学歴」が重視された。一定数の「有名大学」の学生を採用することが大手企業にとっての採用ゴールであった。採用のためのPR活動も、ある程度は手法を定型化することができた。

だが、最近では求める人材像が多様化している。また、学生たちの就活に対する意識も徐々に変わってきている。理想とする社会人像やライフスタイルも変化してきたことから、採用する企業は「学生時代に何を学んだか」「どんな社会人になりたいのか」など学生の個性を十分考慮した上で、自社と学生ニーズをマッチングしなくてはならなくなった(例:終身雇用制の変化、管理職になりたがらない若者の増加など)。

また昨今のコロナ禍では、オフィス勤務や新卒の一括採用、社員の働き方全般を見直す企業も出てきている中で、企業と学生の双方にとってベストな採用PRを担当者が幅広い視点から再構築する必要がある。

採用PRの難しさは“全体感”の提示にある

企画書を作成する上で、採用PRと採用活動(採用マーケティング)との違いなどを、まず整理した上で(整理の仕方は後述)、自社の採用ポリシーを俯瞰した“全体感”のある企画書を書く必要がある。

一般に採用活動は、入社した「人数」と「質」が達成目標となる。だが、後者の「質」は達成できたかについて短期での評価はしにくい。新卒社員の入社後の能力発揮や会社への貢献、社員ロイヤルティの高さなどは、入社から中長期にわたって評価される以外に良い方法がない。このためその年の採用活動の目標設定とその評価は「採用人数(ターゲット属性ごと)」(例えば、理科系○人、大学院卒○人など)と、ザックリとした「質」の評価にならざるを得ないのが実情だ。

企画書の作成に際しては、こうした短期での成果が数値化しにくい点など考慮した上で、採用活動全体の課題に対してどのようなスタンスで採用PRを行うのか、“全体戦略”を最初に明示すると企画書がまとまりやすくなる(図2)。

採用PRの始まりから終わりまでの“全体スケジュール”

採用活動が実質、前倒しされ、かつ長期化している。採用PRをいつから開始し、いつピークを迎えるのか?
➡前年度からの流れと、翌年度に向けた全体スケジュールを策定採用情報に限らず、企業イメージを向上させファン形成を行う視点での企画

就活生との良好な関係性を育む、軸となるコミュニケーション方法

自社サイト、就活サイト、SNS、動画サイトなど、様々なチャンネルから情報発信している。軸となるコミュニケーション方法は?
➡単年度でのPESO(後述)を中心としたコミュニケーション戦略

図2 全体戦略を明示するために、企画書に盛り込みたいポイント

採用PRの始まりから終わりまでの全体スケジュールを明確に

知名度の低い新しい企業やBtoB企業などでも、採用PRを早期から稼働させることで早くから人材を集めやすくなった。学生はインターン活動を通じ、業界や個々の企業についてじっくり事前に調べてから就活に臨むことができる。一方で採用PRの一般的なモデルケースがなくなった。では入社を希望する学生に対する情報発信(ファーストコンタクト)を、いつどのような形で開始したらいいのか。

採用情報など単年での情報提供を行うだけでなく、日頃からの会社イメージの向上や「ファンの形成」を行っていくプロセスを含む、息の長いPR戦略が企画書にも求められ、これまで以上に全体感と戦略性が要求されている。結果として採用PRの担当者は、綿密な事前計画と広範囲のコミュニケーション戦略の提案が求められている。

軸となるコミュニケーション方法は何か

かつて就活の情報源は就職情報誌やOBOG訪問などに限定されていた。今ではほとんどの企業が自社サイトで自社情報・採用情報を発信するほか、SNSなどを使い学生向けに情報発信を行っている。学生は就活サイトなどの口コミ(レビュー)などからも多くの企業情報を得ることができる。

その反面、多種多様の情報に踊らされ、どの情報を信じていいのか分かりにくく戸惑うことも多い。

採用PRの担当者から「どういったコミュニケーションスタイルが相応しいのか、よく分からない」と率直な相談を受けることがある。

そして多くの場合が「他社に倣って、うちもインスタ、Twitter、YouTube、あるいは社長ブログなど始めるべきでしょうか?(あるいは、すでに始めたのですが⋯⋯)」と、目的と手段が逆転してしまったようなケースも多い。

企業からの情報発信、コミュニケーション手段が多様であることは悪いことではないが、まずは...

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