企業の広報戦略・経営戦略を分析するプロが、データドリブンな企業ブランディングのこれからをひも解きます
今回のポイント | |
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① 企業の魅力度を測る3つの重要な要素 | |
② 業績不振でも人や商品の魅力が企業の支えに | |
③ ニューノーマルに向けた広報戦略の立て直しを |
当研究所では、生活者が企業のどのような活動等に魅力を感じ、その魅力がどのように伝わっているのかを解析することを目的に2016年以降毎年、全国の生活者1万人を対象に「魅力度ブランディング調査」(*)を実施しています。この調査は当研究所が提唱する「魅力度ブランディングモデル」(図1)に基づき、コーポレートブランドを構成する魅力を「人的魅力」「財務的魅力」「商品的魅力」の3要素(各12項目、合計36項目)から検証。
第5回目の今年は、新型コロナウイルス感染症における緊急事態宣言が解除された約1カ月後に実施しました。この時期を含めた各企業の対応をどう見ていたか、生活者の評価をもとに、企業がどう魅力を打ち出し、日々の活動の中でどのように戦略性を持たせていくべきなのかを考察していきます。
財務的魅力も再評価
企業に対する魅力要素のランキングでは、興味深いことにTOP5の項目が昨年と全く同じとなりました(図2)。さらに、「ビジョンを掲げ、業界を牽引している」(53.4%)が前年よりもポイントを上げ、5年連続で第1位に。
コロナ禍であっても、上位5項目のうち4位以外を企業の信頼性に寄与する「人的魅力」が占め、世の中の動きにあまり左右されない不変的な要素であることが伺えます。あるいは、このような状況下だからこそ、より理念やビジョンに基づいた企業の活動が注視されているのかもしれません。
次に、今回の調査で特に大きく変化があったものについて説明します。業界別ランキングでは、海外自動車・自動車関連部品業界や繊維・化学・日用品業界は例年上位となっていますが、3位の情報通信コミュニケーション業界は、昨年の10位から大幅にランクアップしています。特に財務的魅力のスコアが前年比で40.3%増、商品的魅力が40.1%増と伸びが顕著です。一方、昨年総合1位だった飲料業界は8位までランクダウンしました(図3)。
情報通信分野は...