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企業倫理から考える広報

「信頼回復」の意味を問い直す──かんぽ不正・日本郵政グループの記者会見

杉本俊介(大阪経済大学)

社会からの信用が問われ、ビジネスに倫理が必要な時代。何らかの葛藤に直面した時、どう筋道をつけていけばいいのか、組織を取り巻く事象から考えます。

記者会見で使う言葉は、会見に臨む想いから離れないよう、その意味をよく理解することが必要です。たとえば「信頼回復」という言葉はどうでしょうか。2020年8月26日、かんぽ生命の営業再開へ向けた記者会見において、日本郵政の増田寛也社長は「信頼回復に向けた業務運営」「お客様の信頼回復の第一歩」といった文言を強調しました。

信頼は後からついてくる

信頼回復とは何を意味しているのでしょうか。信頼されるようになることでしょうか。そうではありません。そうであってはならないのです。ビジネス倫理では、信頼(Trust)と、信頼に値すること(Trustworthiness)を区別します(図1)。信頼に値しないものが信頼されてしまうことは、望ましくありません。

図1 信頼と〈信頼に値すること〉の区別

不祥事を犯した企業が目指すべきは、もう一度信頼に値する企業になることで、ただちに信頼される企業になることではありません。質の高い商品やサービスを提供し、ステークホルダーへ善意を尽くし...

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