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メディア研究室訪問

700人以上のメディア関係者から多様な視点とセンスを磨く

茨城大学 人文社会科学部 現代社会学科メディア文化メジャー 村上信夫 ゼミ

メディア研究などを行っている大学のゼミを訪問するこのコーナー。今回は茨城大学の村上信夫ゼミです。

「行方CM制作プロジェクト」の撮影風景。クライアントは「新選組!茨城玉造隊」。新選組の研究と芝居を行い、全国の関係者との交流を行う団体である。ストーリーだけでなく殺陣も、担当した学生が考え、演出をつけている。

DATA
設立 2012年
学生数 2年生8人、3年生4人、4年生9人
OB/OGの主な就職先 日本放送協会(NHK)、WOWOW、東日本放送、テレビユー福島、静岡第一テレビ、毎日新聞社、朝日新聞社、共同通信社、東奥日報社、オズマピーアール、ベクトル

茨城大学 人文社会科学部の現代社会学科メディア文化メジャーは、国立大でほぼ唯一といわれるメディアを学ぶコースがあり、全国から学生が集まる。放送作家でもある村上教授は、茨城大でメディアを学ぶ意味を「地方の視点を持ち、その上で東京のメディアの現場と交流できる」点を挙げる。

村上ゼミではゼミ時間の学びと村上教授の幅広いネットワークを活かし学生たちの視野を広げる経験、実践という授業時間外のゼミ活動を行っている。しかし、「プロの養成が前提のゼミではなく、メディア文化、メディア社会という学問の上に、制作や情報発信、イベントなどのプロジェクトを行うことで、学生たちにしっかりとした力がつくよう考えている」という。

村上ゼミのメンバー(2020年1月撮影)。

学生でも妥協せず提案する力

村上ゼミの活動は大きく分けて4つあり、①SNS運用、メルマガ発行などの情報発信を行い、マスコミ、企業などの学外、ゼミ勧誘などの学内広報を担当する「広報」②講演会やOG・OB会を開催し、他大学、企業など外部と連携する「交流」③ひとつのテーマを設定し、1年間ゼミ生全員で調査する「年間研究」④CM制作などの「プロジェクト」である。ゼミ生ひとりがプロデューサーとなり、すべてを進行させる。「やり抜くことで、学生が大きく成長する」と村上教授。

2020年2月には茨城県行方市の放送局、なめがたエリアテレビとコラボした「なめがた企業・商店応援CM制作プロジェクト」を行った。2年ゼミ生(現3年生)全員が担当クライアントを持ち、企業のトップ、広報と向き合い企画から撮影、編集を行い、CMを制作した。「苦労したのは、クライアントの本当の課題を聞き出すこと。要求をそのまま形にすることが期待される結果とイコールではない。相手が意識さえしていない奥底の課題を捉えて、しっかり提案することが重要だ」とゼミ生。企業人と対等の仕事をする中で学んだことを語った。

また、つくる、やるだけではなく、プロジェクトではプレスリリースを配信するなど、「伝える」ことまで落とし込むのも特徴である。CM制作プロジェクトでは、県内外のメディアにプレスリリースを配信し、新聞4紙の取材を受けた。毎月15日に発行する「メルマガ」は、自分たちの活動を記録することとそれを外部へ伝えることを目的としている。読者はテレビ・新聞・広告・広報・出版などのメディア関係者やOB・OG約700人。読者からのフィードバックが多く、ゼミ生の自信につながっている。

「行方CM制作プロジェクト」を行う地元テレビ局「なめがたエリアテレビ」スタッフとの打ち合わせ。

夢を夢で終わらせない

メルマガに限らず、村上ゼミの特徴は、現場の実務家との交流が盛んなことである。記者、プロデューサー、ディレクターをはじめ、クリエーター、音効などプロによる講演会、共同通信社や電通、博報堂など、都内のメディア企業を訪問し見学と講演を聴く「東京ゼミ」などを行っている。コロナ禍で見学ができなかった今年は、オンライン講演会を毎週開催。メディアの現場の人たちと交流している。

「意識しているのは、もし、プロになりたいと思ったときには、夢を夢で終わらせないようにしてあげること。はるか遠い存在に見えるプロたちも、実はひとりの人間。頑張れば、自分もたどり着ける目標であることを、様々な場面で感じてもらいたい」と村上教授。現場の風が吹いているゼミでありたいと考える。

    ゼミスタイル10

    ① すぐやる。必ずやる。出来るまでやる。
    ② 早く、速く、直ちに。スピードは全てに勝る。
    ③ 先手先手、そして先手。まず自分が動け。
    ④ ノーと言うな。できない理由は誰でもいえる。出来る工夫は君しか出来ない。
    ⑤ 準備が全て。準備は人を裏切らない。
    ⑥ 本物を見る。一流を知る。
    ⑦ 摩擦を恐れるな。逃げれば、それが癖になる。
    ⑧ 約束は守る。必ず守る。絶対守る。信用とはただそれだけのことだ。
    ⑨ 前へ前へ、前へ。
    ⑩ 成長とは限界を越えたその先にある。

村上ゼミ生の行動指針を「ゼミスタイル10」という形で言語化している。

若さの特権 成長力、未知なる可能性を開花させるサポートを

村上信夫教授は、現役の放送作家である。2012年から茨城大学で教鞭をとりつつ、その活動はいまだに精力的に続いている。メディア業界での人脈は広く、テレビ、新聞、出版、広告・PRなどの現場のプロと学生たちを引き合わせる。「学生たちはあるちょっとしたきっかけで急速に成長する可能性を持っている。業界のすごい方々と交流する機会をつくってあげることで、グンと成長する姿は嬉しく、同時に少し羨ましいですね」。

村上教授が目指すのは「地方からの視点を持ち、かつ中央のレベル、センスを兼ね備えたゼミ生をメディアの業界へ輩出すること」。教授の持つ人脈とスキルで、次世代の育成に力を入れている。

村上信夫(むらかみ・のぶお)教授
立教大学大学院修士課程修了。博士課程中退。自動車メーカー勤務後、放送作家に転じ、5000タイトル以上のテレビ番組を手がける。その他、映画、CM舞台や愛知万博をはじめとする大型イベント、大型ショッピングモールのオープニング広報など、幅広く活動している。2012年から茨城大学教授。

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