長期の在宅勤務で課題となるのは、社内コミュニケーション不足や従業員エンゲージメントの低下、健康面への影響。経営視点から各社員の働き方や健康に配慮する企業は、どんな取り組みをしているのか。
「新しい日常を楽しむOnline Family Dayを開催」。日本ヒューレット・パッカード(HPE)は、社員の家族向けイベントをオンラインに切り替えて実施するとプレスリリースで発表し、メディアも参加できる形にした。例年、社員の家族を会社に招き、社員と家族、家族と会社の絆を深めるために行ってきた「Family Day」は、今年8月の開催で11回目となる。
2月下旬から在宅勤務を続ける同社。9月現在もオフィスに戻れるのは社員の20%としているが、業務に混乱がないのは「従来から柔軟な働き方と環境の提供を行っていたから」と人事統括本部長の鶴田義朗氏は言う。ここでは「Online Family Day」の取り組みと、その背景にある、従業員各人のワークライフを大事にするカルチャーや、土台となる人事制度について見ていく。
働き方を自由に選択できる環境
「社員にとって最も成果が上がる働き方を、主体的に社員自身が選択できる環境をつくる。それが社員の自律性の育成につながり、結果としてビジネスへ貢献する」。これが、同社の人事制度やプログラムの背骨になる考え方だ。社員の自由と自己責任を重んじるのは創業当時から。フレックスタイム開始は1977年と早い。在宅勤務やパフォーマンスベースによる評価制度など、自律的に働く社員を支える仕組みを導入してきた。そんな同社が今、力を入れるのが「ウェルネス」。そして経営視点で従業員のウェルネスに配慮する「健康経営」だ。
「当社の考えるウェルネスには3つの要素があります。身体の健康、金銭的に健全であること、精神的な健康です。社員一人ひとりのウェルネスは、会社の財産そのもの。会社の成長のために大変重要です」と鶴田氏。
2019年4月にはHPE米国本社が「Work That Fits Your Life」(人生のステージにあった働き方支援)を発表。そのプログラムも...