コロナ禍で、ビジネスモデルの見直しを迫られている企業は少なくない。企業ブランディングを支援する、たき工房が勧めるのは、顧客からの共感性の高い「パーパス」の策定と、パーパス・ブランディングを成功させる「デザイン」だ。
今年60周年を迎えたデザインエージェンシーのたき工房。デザインを通じ企業のブランディングを支援している。「コロナ禍で経済活動が停滞する中、より一層、企業の強い指針が必要になっています。それも企業目線ではなく、顧客からも共感性の高い指針、つまりパーパスが効果を発揮します」。こう話すのはブランドデザイン部のコピーライター・小保方克倫氏だ。
存在理由を顧客目線で
「パーパスとは、あなたの企業やサービスがなぜ存在するのか、という問いであり、その問いに答えることが個々の企業の指針を導き出すことにつながります」と小保方氏。
企業理念が“企業目線”で語られる言葉が多い一方、パーパスはあくまで“顧客目線”。「社会にどんな良いインパクトを与えられるか、という視点がパーパスには欠かせません」と、アートディレクターの大入将太郎氏は補足する。「会社のパーパスを浸透させるためには、部署のパーパスを作成し、それを達成するために個人のパーパスを設定する。個人と部署、会社をパーパスで結びつけていくことは、パーパス実現の近道になると思います」。
しかし、パーパスを発見できても、ブランディングが成功するとは限らない。「成功にはブランディング・デザインが不可欠です」と大入氏。
成功に導く2つのデザイン
では、ブランディング・デザインとは。「自動車に例えると、パーパスという“ハンドル”が正しい方向に舵を切り、デザインという“タイヤ”の動力でパーパスの定めた道に走らせることができます」と大入氏(図1)。
同社ではデザインを2つの役割に大別。ひとつはパーパスへの道しるべとなる「設計」としてのデザイン。もうひとつがパーパスを実現する「実装」としてのデザインだ。
設計・実装の成功事例に、エキナカ商業施設の「グランスタ」(鉄道会館)がある。東京駅周辺の他の商業施設との差別化が課題だったことから6回のワークショップを実施。パーパスを立て、未来のグランスタがどうあるべきかを示すブランドロードマップも作成。「設計」のデザインを行ったのだ。
次にたき工房は、来館者の顧客満足度を上げるには、まず従業員満足度を上げる必要がある、と担当部署と一緒に導き出した。というのも、当時は管轄店舗が250ほどであったが、一貫するサービスコンセプトが店員に十分浸透していなかった。「従業員満足度を上げるため、ブランドブック制作の他、次年度には店舗を越えて互いの仕事を褒め合うアワードを開催。1200以上の投票があり、従業員・顧客の満足度向上につながりました」と大入氏。
加えて駅構内でのサイン(看板)作成においては、パーパスを体現しているか、顧客満足度が高まっているか、という視点を織り交ぜ、「実装」のデザインを多面的に施している。
パーパスを軸に進むべき道をつくる「設計」のデザインと、道を走らせる「実装」のデザイン。この両面の実行が、ブランディング成功の肝となる。
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