日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

IRの学校

IR分野でSNSは活用できるか【前編】

大森慎一(バンカーズ)

広子たちはIR担当として、忙しくも刺激的な日々を送っている。新型コロナに対応した新しいビジネス様式、とりわけIRに関する環境を模索しているが、今日はIR部門のSNS活用について相談し始めた。



広子東堂:こんばんは。

大森:こんばんは、今日は2人そろって出社だったの?

広子:そうなんです。今シーズンのIR活動の方向性を確認するMTGでしたので。

大森:広子さんの会社では、株主総会をひとつの区切りとして、IR活動の年度計画を考えているんだったね。今回の目玉は何だい?

広子:目玉、というか「SNSの活用」が課題として挙がってまして、検討しなければならないんです。

大森:おっ、中の人デビューだね!

広子:やめてくださいよ。社長にも同じようにからかわれて、気がめいっているんですから。

大森:ごめん、ごめん。でも、前も確か検討してたと思うけど、また蒸し返されたの?

東堂:はい。議論のテーマとしては、「ウィズコロナ時代のIR活動」ということだったのですが、リモート環境を積極的に採用するIR活動を基本とするなら、SNSの活用は親和性が高いのではないかと。そういう仮説をもとに改めて考えてみようということになりまして。

大森:なるほど、確かにそういう一面はあるかもね。

広子:あれ、大森さんはどちらかというと反対派というか⋯⋯否定派でしたよね?

大森:確か以前は「社長やCEOがキャラが立った人で、かつ、発言をフォローするスタッフが充実しているのであれば、IRの領域でも“生の声を発信する魅力”はある。けど、普通の企業にはハードルが高い」という説明をした気がするなあ。

広子:でしたよね。当社の場合、そういう使い方は無理なので、結局、IRサイトに登録いただいた人に、新着情報などの通知メールを送ることに限定して始めた経緯がありますね。

東堂:他社の情報発信を見ても、登録者向けメール配信が中心で、同じような状況です。TwitterのIR関連の公式アカウントでの発信を見ても、プレスリリースやIRサイトの新着情報が中心で、違う媒体での露出を紹介するのが多いようです。

大森:そうだよね。僕はそういう情報発信は要らない、受け取りたくないと思ってしまう。

広子:ええっ!どうしてですか?

大森:メールやツイートの本文には「適時開示を行いました」というような簡単な文章と、URLが載っていて関連サイトへ誘導するだけ。文章を見ただけで完結しないし、クリックした先の情報が、重要ではないケースが多くて、「有用ではない」「面倒くさい」対象になりがちなんだよね。まして多くの企業に登録しているとね。

広子:なるほど。でもさっきは肯定的な意見をおっしゃってましたよね?

大森:発信する内容も含めて、社会環境に合った情報発信や伝達・コミュニケーション手段を改めて考え直すのはいいね、と思ったのさ。

東堂:なるほど。では、本日はそのお話をぜひ。

ファンとのコミュニケーション

大森:ではまず、メールやサイトではなく、SNSを使う意義・目的は何だろう?

東堂:広く一般の投資家、もしくは候補に対して、まずは情報発信に気付いてもらうということです。そして、読んでもらって、興味をもっていただく。リツイートやシェアは当社に興味がなかった人にも届くことになりますよね。

大森:なるほどね。でも、リツイートしたくなるような内容が必要になるね。そうだ、広子さん。広報ではIR以上にSNSを活用していると思うけど、どんなことが目的なのかな。

広子:基本的にはファンづくりですね。共感や親近感によって、つながりをより強固にする目的です。さらに、相互に発信・確認できるので、消費者の意見や疑問に対し、対応もできます。

東堂:消費者の発信のなかで、世間に当社について間違った情報が流れていることに気づき、即座に対応した結果、危機管理にもつながったというお話も広報担当者に聞きました。

大森:なるほど、ファンに対する姿勢自体のアピールにもなるね。逆に対応が遅れたり、不適切な対応で失敗したりという面を考えると、諸刃の剣だね。

広子:それは、SNS発信していたから気づけたわけで、小火で消しとめられたと評価すべきだと思いますけど⋯⋯。

大森:そりゃ、そうだ。一本取られましたな。では、本題に戻って、SNSはファンに対するコミュニケーションの場所として提供するのが適当で、共感が強ければ、リツイートなどによる伝播も期待できる、ということになるね。

広子:そうですね。

ふさわしいコンテンツは?

大森:よろしい。では、リツイートをしてもらえるような発信内容、コンテンツは何かという面だ。受け手がSNSなどのコミュニティからの情報配信に期待することを確認しながら、広告や広報とIR情報の違いを整理したいと思う。

広子:お願いします!

大森:まず一般的に、情報の受け手側が期待することは、エンタメ性を除くと、「速報価値(早耳情報)」「優待価値(お得情報)」そして「限定価値(ここだけの話)」などになるよね。

広子:そうですね。広報だと十分に意識する内容ですね。

大森:IR情報だと、どうかな?

東堂:⋯⋯ほとんど無理です。

大森:そうだね。フェア・ディスクロージャー・ルールの上では...

あと61%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

IRの学校 の記事一覧

IR分野でSNSは活用できるか【前編】(この記事です)
アフターコロナの新しいIR様式【後編】
アフターコロナの新しいIR様式【前編】
リモート下の決算発表
感染症対応下の株主総会
株価急落へのIR対応

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する