日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

サステナブル事業 ケーススタディ

リスクと機会は表裏一体 「変容」を意識してこそ真のSDGs!

佐藤真久 (東京都市大学大学院 環境情報学研究科 教授)

コロナ禍でSDGs活動を行うことには価値がある。それはもはや自明の通りだろう。しかし、慈善事業としての企業活動では、むしろ企業経営の負担にしかならない。真にビジネスチャンスの芽につなげられるSDGs活動と、その効率的な到達の方法とは。

コロナを「機会」と捉える

──コロナの影響で企業のSDGs活動にどのような変化が起きていると思いますか。

二極化の現象が起きています。コロナ禍“だからこそ”SDGsにより熱心に取り組もうとする企業と、コロナ禍“だからこそ”SDGsに対応する余裕はない、と考える企業の二極化です。前者の例で言えば、トヨタ自動車が当てはまります。同社の豊田章男社長は、2020年3月期の決算説明会で「SDGsに本気で取り組む」と発言し、注目を浴びました。

──どうして二極化が生まれたのでしょうか。

二極化の現象を理解する上で押さえておきたいキーワードとして、「中長期的にリスクを機会と捉えられるか」があります。例えば、後者の企業群は「外から言われたからやる」というモチベーションでSDGsを行っています。しかし、トヨタ自動車のような前者の企業は、中長期的な視点に立って、「リスク」をビジネスモデル変容への「機会」と捉えているのです。同社がもはや「自動車会社」ではなく「モビリティカンパニー」を自称し、2020年1月にはスマートシティ構想を発表したことなどからも、それは明らかです。

──中小企業でもSDGsを機会と捉えることは可能でしょうか。

SDGsに取り組む上でのハードルの高さに企業規模は関係ありません。むしろ、社員一人ひとりがSDGsをきちんと自分ゴト化できているかどうかが肝要です。トップダウンで何か言われても、社員がそれを真に腹落ちさせていなければ、その企業は「適応型(後者)」であり、「変容型(前者)」とは言えません(図1)。また、CSR担当部局などを立ち上げて、そこ単独でやっていれば良い、という話でもなく、経営者はじめ組織全体でどれだけ自分ゴト化させられるか、が重要です。

図1 「変容型」企業と「適応型」企業の違い

そういった意味では、大企業でもSDGsの目標を単に紐づけているだけでは「適応型」にすぎません。また、中小企業は今後より一層SDGsを意識せざるを得なくなるでしょう。なぜなら、いくら中小企業でも取引先には大企業がいるわけで、そこでSDGsの文脈が分かっていないと今後の取り引きも危うくなるわけです。

より広報業務に沿った話をすると、プレスリリースや統合報告書などで、事業とSDGs目標への紐づけがよく練られていないまま、あまりに強調しすぎていて取ってつけたように見えると、“外から言われたからやる”適応型の印象を受けます。そもそもSDGsには「世界を変える」(transforming our world)という“変容”の意味合いが込められています。

広報担当者の方々にはぜひ、そのことを念頭に置いて、「適応型」ではなく、自らのビジネスモデルを変える意志をもち、中長期的な視点に立って、リスクを機会へと転換させるといった「変容型」を意識した広報を行うことをお勧めします。

「変容型」企業の取り組み事例

──企業の“変容”を意識した取り組みの例を教えて下さい。

例えば...

あと64%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

サステナブル事業 ケーススタディ の記事一覧

ミレニアル世代求めるは「信頼」 購買決定や就職先を左右するSDGs
大川印刷の企業サイトに見る SDGsを切り口とした積極広報姿勢
リスクと機会は表裏一体 「変容」を意識してこそ真のSDGs!(この記事です)
「誰も取り残さない」が軸 新ビジネス生む風土を社員と醸成
従業員の英知や参加が欠かせない 専門性を活かしたLIXILの社会貢献

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する