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元ディレクターが教える テレビ番組制作者の本音

苦難に立ち向かう姿は王道ポイント 未来を見据えたストーリーづくり

下矢一良(PR戦略コンサルタント・合同会社ストーリーマネジメント代表)

新型コロナウイルス感染拡大を機に私たちの生活は大きく変化した。事態も収束に向かう中、経済報道番組の制作側はどのようなネタを求めているか。危機下だからこそ、広報の仕掛け方が問われている。

「緊急事態宣言」も段階的ながら、解除されてきており、新型コロナの感染拡大もピークを過ぎたように思える。しかし私たちの生活は、完全に「コロナ前」と同じというわけにはいかない。経済報道番組が取り上げるテーマもまた、同様である。

今回は「コロナ後に経済報道番組が取り上げるテーマ」について考えていこう。特に「私が現役の番組制作者に戻ったとき、何を取材しただろうか」という観点から、①逆境を乗り越える人々②新しい生活様式への対応事例 ③リモートワーク浸透後のスタンダード事例の3点をあげた(図表1)

    ① 逆境を乗り越えようとする人々

    王道中の王道。
    飲食、宿泊など、大きな被害を受けた中小・中堅企業を中心に。

    ②「新しい生活様式」への対応方法

    「テレビ受け」を狙ったものより
    「新たなスタンダード」になりうるもの。

    ③ リモートワークの一歩先の未来

    人事評価のあり方やメンタルケア、副業解禁への影響など。
    番組制作者にとっても、自分ごとであるだけに関心は高い。

図表1 アフターコロナで経済報道番組が取り上げたいテーマ

王道は「逆境を乗り越える人々」

真っ先に思い浮かぶのが、①逆境を乗り越えようとしている人々、の密着取材だ。今回に限らず「国民的災厄」ともいえる事態の後、経済報道番組は何を伝えてきたのか。テレビ東京『ガイアの夜明け』を例に、2011年の東日本大震災を振り返ってみたい。

震災から約2週間後の、3月29日。『ガイアの夜明け』では「シリーズ・復興への道」と題した、連続企画をスタートさせている。この連続企画の初回で、地域の足であるバス会社、生活インフラとなったコンビニエンスストア、さらには計画停電で揺れる首都圏の介護施設、被災地の病院を支援する東京の医療チームなどを密着取材している。

この「シリーズ・復興への道」は半年で12回を数える連続企画となった。他にも「ニッポンの反転攻勢」という別の連続企画や「甦れ!三陸漁業」という特集も放送している。これらを合算すると、その年の実に6割近い放送回が「東日本大震災という未曾有の逆境を乗り越えようとしている人々」の特集となっているのだ。

主役になりやすい企業の条件

さらに掘り下げて、今回の「コロナ禍」の場合では、どのような企業が「逆境を乗り越えようとしている人々」として、“ストーリー”の主役になりうるのだろうか。もっともコロナで直接的にダメージを受けた旅館、ホテル、旅行代理店、飲食店などは真っ先に候補に挙がるだろう。

では、こうした業種であれば、どの企業も主役になりうるのだろうか。やはり...

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