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リスク広報最前線

謂れのない誹謗中傷には味方を増やす広報戦略で挑もう

浅見隆行

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

問題の経緯

2020年5月23日

恋愛リアリティ番組「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー・木村花さんが5月23日、亡くなったことが分かった。同日、彼女のSNSには「愛してる、楽しく長生きしてね。ごめんね。」などのコメントが投稿されていたという。彼女をめぐっては、番組内のとある出来事によりネット上で激しい中傷を受けていたとされる。木村さんが生前所属していたプロレス団体・スターダムは、「詳細については、いまだ把握できていない部分もあり、引き続き関係者間の調査に協力していく」とコメントしている。

5月23日未明、女子プロレスラーの木村花選手が亡くなりました。生前に出演していた恋愛リアリティ番組内での木村選手の言動に対し、SNSで多数の誹謗中傷が寄せられていたことが背景ではないかと報じられています。

このケースは一見すると、企業には関係がないようにも思えます。しかし、SNSを通じて誹謗中傷が寄せられるという現象は、日常の企業活動にも共通するものです。そこで、今回は、木村選手のケースを題材にSNS炎上と危機管理広報を検討してみたいと思います。

適切な反論はむしろ企業価値を高める時代に

木村選手が生前に投稿したTwitterによると、毎日100件近い誹謗中傷が寄せられていたようです。その内容は「死ね、気持ち悪い、消えろ」といったもので、これらの投稿を受け、木村選手は「傷付いたのは否定できなかった」とコメントしています。

企業に置き換えれば、企業のSNS公式アカウントやSNSサイトに自社商品やサービスなどにクレームや誹謗中傷が毎日多数寄せられて、企業は何ら反論することもできないまま商品やサービスなどを終了する、究極は企業活動そのものを閉じてしまうということです。

最近では、メッシュ素材メーカーのくればぁ社が日の丸のマークをつけたマスクを製造販売していたことが、2020年2月中旬頃から「厚労省がマスク不足に対応し、日の丸を冠したマスクを生産」などと誤った情報にもとづいてTwitterで政府批判の題材に使用され、製造休止に追い込まれました。同社の石橋衣理社長は5月28日に「日の丸マスク 大変人気でしたが議論のネタにされるのは本望ではないので、しばらく製造休止しています。またいつか復活できれば・・・」とTwitterに投稿して、不本意であることを明らかにしています。

ここに危機管理広報の問題が生じます。SNSで世の中から誹謗中傷が寄せられたときに、何も言い返すことができない、あるいはあえて言い返さないまま企業活動を停止する姿勢が正しいのかということです。

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