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元ディレクターが教える テレビ番組制作者の本音

何気ない一言が報道を変える 社長と現場を語れる広報こそ必要

下矢一良

新型コロナ感染拡大を機に、広報の在り方も見直しが必要となっている。実は広報と制作側の間では価値ある情報にギャップがあることが多い。経済報道番組の制作側とコンタクトを取る際に広報が注意したい点を解説する。

新型コロナウイルスの影響で、広報の仕事もなかなか「平常運転」とはいかない日々が続いている。「コロナ便乗商法」とも見られかねない、安易なプレスリリースを乱発するだけでは、マスコミに取り上げられないばかりか、その企業の品位を揺るがすことになりかねない。

日常業務が止まる時間だからこそ、通常の広報業務の取り組み方を考え直す期間としてはどうだろうか。そこで今回は「報道番組で取材を依頼する側が、広報担当者に期待すること」を書いていきたい。4月から広報担当となったものの、まだ存分に仕事ができず悶々とした思いを抱いている新任の方には、特に参考にしていただきたい。

「社長」を知っているか

経済報道番組の取材者が、広報担当者に最も期待することは、社長に関する情報である。テレビの密着取材、あるいはインタビューの対象は、ほとんどの場合で社長になるからだ。

例えば、何かの新製品発表がある場合にテレビ東京の『WBS』や『ガイアの夜明け』をはじめとした経済報道番組が伝えるのは、新製品の経営上の位置づけであって、個別製品の販売戦略や、まして細かな性能ではない。こうした全社的な視点から語るのにふさわしい存在は、社長しかありえない。

とはいえ、実際に番組で取り上げるかどうか決まっていない段階で、テレビの取材者が社長に直接話を聞ける機会は限られている。そこで、社長よりもはるかに気軽にコンタクトできる広報担当者から、「社長の情報」を得たいものなのだ。

社長ウォッチャーとしての役割

「社長の行動」は当然、プレスリリースに書かれているようなものではない。広報担当から聞いた話から密着取材の最初のメドを立てることになる。「今回の新製品では社長室に籠るのではなく、現場に降りてきて陣頭指揮にあたっていた」、「社長は移動時間の合間や休日に、販売店をひとりで見に行っている」といった、広報からの思わぬ情報が取材の切り口になったことが実際何度もあった。

経済報道番組の取材者は広報担当者に「社長の代弁者」というだけではなく、「社長ウォッチャー」としての役割も期待しているのだ。「広報が社長のことを把握しているのは、当たり前」と思われるかもしれない。だが「社長を語れる広報」は、実際にはかなり少ない。それが広報の方々から番組への売り込みを受ける立場だった私の、偽らざる実感だ。

過去の記者会見を見れば...

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