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著者インタビュー

積極的なメディア露出と交流 地域とのつながりを築く

是永大輔

つぶやかずにはいられない。アルビレックス新潟社長戦記
是永大輔/著
朝日新聞出版
192ページ、1400円+税

新型コロナウイルスの影響で、スポーツ産業にとっては厳しい状況が続いている。サッカーJ2リーグに位置する「アルビレックス新潟」の代表を務める是永大輔氏は「こんなときだからこそサッカークラブの“勇気”や“元気”を届けるという存在意義を発信していく必要がある」と話す。

本書では解散の危機にあったクラブを、1年間で過去最高益を出すまでに引き上げた改革の舞台裏と是永氏の戦略・ビジョンがまとめてあり、トップ自らが積極的に広報活動に参加する意義についても解説している。

インフラとして地元に密着

「スポーツクラブは地域に根ざし、愛されるチームでなければ存続はできない」と是永氏。2019年に社長に就任してからは、「電気・ガス・水道・アルビレックス」というビジョンを掲げ、地域のインフラとなるために社会貢献活動や地元イベントにも積極的に取り組んできた。

「サッカークラブはなくても困らないというところがスタート。地域になくてはならないものと認知されるにはクラブのブランドをしっかりデザインし、それをなるべくズレのない形で“発信”することが重要。メディアやSNSを介して自らの言葉で語ることが一番ズレの起こらない方法だと考えました」。媒体の特徴を意識して戦略的な発信を心掛けているという。

その中で是永氏が特に積極的に活用しているのが本書の題名にもあるTwitterだ。140文字の中で共感やクラブへの熱を促していく。ひとつのツイートに最低でも30分以上の時間をかけ、今の世の中の動きをふまえつつタイミングに合わせた発信を目指している。オウンドメディアも活用しつつ、メディアキャラバンなど地元メディアにも積極的にアプローチ。その結果、就任以前と比べ2019年度のメディア露出は144%増となった。

シンボルとなる存在が必要

スポーツは勝ってこその世界だが、環境を整えることはできても経営層がそれを左右できるものではない。だからこそ「勝ち」に左右されない長期的なファン層を築くことが不可欠だ。

「ファンになってもらう為には『この人の言っていることなら信じてみよう』『この人に言えば間違いない』というシンボル的な存在がいることが重要になってきます。言葉に説得力がある経営者がその存在になるのが一番好ましい」と是永氏は説明する。

その一方で、その人の敷居が高すぎると意見が出しにくく、形だけのシンボルになりかねないと指摘する。是永氏は毎試合会場に足を運び、サポーターと直にコミュニケーションをとったり、地域住民や地元企業とも定期的に交流を図り、その壁を取り除けるように取り組んでいるという。もちろん、トップ自身だけでリレーションを取れるわけではない。そんな時、社長とステークホルダーとの間に立って意見を媒介するのが広報の役割だ。

「中にはメディア露出に積極的ではない経営トップに悩む広報担当者の方もいると思います。トップの目指すビジョンに合わせて上手くストーリーをつくりつつ、スポークスマンになる責任や役割をトップに認識させることも重要です。このような時代だからこそ、広報力は経営者層にも求められていることだと思います」。

是永大輔(これなが・だいすけ)氏
1977年千葉県千葉市生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒業後、IT企業を経て、2008年Albirex Singapore PTE LTD CEOに就任。アルビレックス新潟シンガポールを親会社に頼らない独立採算へと舵を切り、売上規模を50倍に拡大。2018年9月、アルビレックス新潟専務取締役、2019年1月から同社代表取締役社長。シンガポール、ミャンマー、香港の代表も兼任。

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