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鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

イラスト/たむらかずみ

Twitterによる個別対応
新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けている航空会社、スカイマークの佐山展生会長はTwitter上で同社に関するつぶやきに個別返信している。

新型コロナウイルス感染拡大で多くの企業活動に影響が出ている。広報業務においても積極的な活動が難しいときだ。こんな時は、これまでとは違った広報もぜひ検討してみたい。

大幅な旅客数の減少や渡航制限、それらに伴う減便に見舞われているスカイマークの佐山展生会長は、Twitter上で寄せられる質問に個別で回答をするほか、同社についてツイートするユーザーに直接声をかけたり、必要な情報を案内したりしている。

「いつも電話繋がらない・・・ネットでできれば簡単なのになぜかそれもできない」とつぶやくユーザーに、「お手数おかけします。ネットは下記で繋がりますのでよろしくお願い致します」とリンクを案内する。「コロナでスカイマークのキットカット配布が中止されてて泣いた」というつぶやきには、「コロナ対策で、キットカットとコーヒー、一時中断させて頂きます。よろしくお願い申し上げます。#スカイマーク #キットカット」と返信を兼ね、タグ付きで他のフォロワーにも告知する。

SNSで自ら情報発信する経営者は今や少なくないが、こうしたいわゆるアクティブサポート(意訳:お節介な案内)まで踏み込むのはまだ珍しい。

原則を定めて価値を見出す

中には「役員にそんなお願いや期待はできない」と言う人がいるが、実務自体は広報担当者が十分にできる。佐山氏はTwitterのプロフィール画面の固定ツイート表示で、「真摯に議論し情報交換する場で、私と面と向かって話すような話し方をする人たちの場にしたい」とスタンスを明確にしている。

すべての人を相手に、どんな質問や意見にも答えるのではない。それでも暴言をぶつけてくる人はいるようだが、相手にしなければいい。この原則をしっかり決めれば、やってみる価値が大きいと考える人も多いのではないか。

利用者との関係づくり

佐山氏のツイートを約半年追う中で見えてきたことがある。同じような困りごとを様々な人が繰り返しつぶやいていること。そして頻繁にスカイマークについてツイートするヘビーユーザーがいることだ。

「今困っている」声ならば、外注のモニタリングのレポートを後で見て対応するより、一声かける方がはるかに早く問題解決にも顧客満足にもつながる。Twitterは情報が必要な人に、その瞬間に直接届けられるのが強みだ。改善点や要望の集約にもつながる。

アカウントを見ればどんな人かも分かるし、関係づくりにもなる。実際、アクティブサポートで声をかけても解決しない時に、まったく別のフォロワーが助けに入るという例もみられ、仲間が増えているような印象だ。

緊急事態宣言などでメディアの取材活動にも制約が出ている今、広報としても通常のメディア対応以外に取り組むには良い機会だ。首相が会見でよく口にする「前例にとらわれない大胆な施策」をこの機会に広報も模索したい。

社会情報大学院大学 特任教授 ビーンスター 代表取締役
鶴野充茂(つるの・みつしげ)

社会情報大学院大学特任教授。米コロンビア大学院(国際広報)卒。国連機関、ソニーなどでの広報経験を経て独立、ビーンスターを設立。中小企業から国会までを舞台に幅広くコミュニケーションのプロジェクトに取り組む。著書はシリーズ60万部のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。個人の公式サイトはhttp://tsuruno.net/

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