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地域活性のプロが指南

40人のチームで議論を重ね 開発段階から積極的に広報を

深澤 了(むすび 代表取締役)

2015年山梨県富士川町で始まった「まちいく」プロジェクト。筆者の実家である酒造の復活を旗印に、地域活性化を目指します。町内外から40人が参加し、2017年4月には商品が完成しました。

実際に田植えにもメンバーが参加。

2015年、山梨県富士川町にある私の実家の酒蔵「本菱」の復活をきっかけとして、地元企業である萬屋醸造店、ワンドリーズの2社とともに動き出した「まちいくふじかわプロジェクト」。2016年3月からは町内外から40人ほどのメンバーが参加し、毎月1回、ワークショップ形式の議論を重ねていきました。

背景や想いの共有が大切

まず私は、集まってくれたメンバーに想いをぶつけました。「本菱を復活させること」が山梨県富士川町という田舎町の地域活性を担っていくこと。「ブランディングを地域活性に活かすこと」でブランディング自体の可能性も広がっていくこと。これらの目的や背景をしっかり話すことがプロジェクトの肝であると考えました。

ワークショップ形式にしたのには理由があります。私たちが普段、企業に行っているブランド戦略構築のやり方を、地域に応用するということがひとつ。また、「酒」は米を育て、醸造し、でき上がるまで約1年の歳月がかかります。その間の時間を有効に活かそうという意図もありました。

また、町の文化財を見学したり、地元の歴史を私の中学校時代の恩師でもある元社会科の先生に講義してもらったりと、理解を深めてもらう機会を設けました。萬屋醸造店の方々には蔵の案内や日本酒の講義をしていただき、原料米の「玉栄」についても、ワンドリーズの方に解説いただきました。

町の文化や酒そのものへの知識を深めながら、田植え、草刈り、稲刈りなども体験し、まさに頭と体を総動員しての1年間を過ごしたのです。今も田植えや稲刈りは毎年、希望者向けに実施しており、子どもから大人まで家族総出で来てくださる方々もいます。

ワークショップ形式は時間がかかり、手間もかかります。40人をチームに分け、毎回宿題を出しチーム内の議論を促し、プレゼンを実施します。「本菱」が強みにしたいことの整理やターゲティングを行い、細かいペルソナ設定によって「一番に本菱を愛してもらいたい人」を明確化していきました。

メンバー全員の「本菱」への認識を一致させるために、本菱がターゲットへどのようにコミュニケーションをしていくのか。「本菱」を擬人化することですり合わせていきました。

また、ここで出た強みは「物性」「機能価値」「情緒価値」「社会生活価値」と分け、存在することによって、どんな価値をもたらしていくのかを議論し詰めていきました...

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