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リスク広報最前線

新型コロナ関連のNHKの報道に フマキラーがネット上で反論

浅見隆行(弁護士)

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

問題の経緯

2020年3月9日

    「キッチン用エタノール」報道に対する当社見解

    一部報道において、「キッチン用エタノールは、アルコール濃度が50%程度のものが多く、現時点ではコロナウイルスへの効果については科学的に証明されていない」等といった、当社とは全く異なる見解が表明されました。

    これを受け、当社には、お客様から多数の問合せ・クレームが寄せられており、こういった形で混乱が広がっていることに対し、強い憤りを感じております。また、この報道により、株主様と投資家の皆様にも多大なご心配をお掛けすることとなり、誠に遺憾です。そして、新型コロナウイルスの広がりが世界的に重大なリスクとなっている今、感染のさらなる拡大を招きかねない一方的な情報を発信したことの責任は極めて重大であると考えており、決して見過ごすことはできません。

フマキラーが企業サイトの「お知らせ」で発表した内容。

フマキラーが企業サイトに「『キッチン用エタノール』報道に対する当社見解」を掲載し、ウェブメディアやSNSを中心に話題となった。2月26日にNHKがキッチン用エタノールの消毒効果について、「科学的証明はされていません」と紹介したことに対する反論である。「感染のさらなる拡大を招きかねない一方的な情報を発信したことの責任は極めて重大であると考えており、決して見過ごすことはできません」などと強い表現で訴えた。

新型コロナウイルスへの感染を防ぐための最も有効な手段は、「手洗い・うがい、消毒液を利用した除菌」です。この除菌の有効性を巡って、マスメディアの報道と除菌剤メーカーのフマキラーとの間で対立が起きています。

発端となった報道は、2月26日にNHKがニュース番組で放送し、かつニュースサイトにも掲載した特集「新型コロナウイルス対策 あなたの疑問に答えます」。視聴者から寄せられた疑問に、専門家が回答する企画でした。

トピックのひとつとして挙げられたのが「キッチン用エタノールは消毒効果がある?」という疑問。番組では、これに対する専門家の回答として「効果の科学的証明はされていません」と紹介しました。その理由としては「キッチン用のエタノールは、濃度が50%ほどのものが多く、現時点ではコロナウイルスへの効果があるか、科学的には証明されていない」とされています。

フマキラーはこの番組の放送から2日後の28日、企業サイトに「当社除菌剤のコロナウイルス科に対する効果を確認」というお知らせを掲載しました。その内容は、「2月19日に同社の製品3品について、新型コロナと類似するネコ腸コロナウイルスへのウイルス不活化試験による効果を確認した」というものでした。

しかし同社には、NHKの報道を見た消費者からの問い合わせやクレームが多数寄せられました。そこで3月9日には企業サイトに「『キッチン用エタノール』報道に対する当社見解」を掲載し、自社の見解とスタンスを公表したのです。

今回のフマキラーのように...

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