社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学ぶ連載です。


2019年1月に参加者を2日間に分け行われた記念式典。会場には社のキャラクター「クロコくん」も登場し盛り上げた。
日本ガイシ(愛知・名古屋)は2019年5月、創立100周年を迎えた。プロジェクトの構想は2016年からスタート。「当社の認知度を向上させ、社内外に未来への可能性を感じてもらう機会にすることが今回の狙い。一つひとつの取り組みに“意義”をもたせて、様々なきっかけづくりを戦略的に組み上げていきました」。プロジェクトメンバーである、コーポレートコミュニケーション部マネージャーの内田陽子氏と同主任の中居友紀氏はそう振り返る。
プロジェクトは日本ガイシ(NGK)グループ社員のロイヤリティ強化、企業ブランド認知とイメージの向上を目的に進められた。
1度限りのお祭りで終わらせない
ロイヤリティ強化に関しては、2019年1月に100周年記念式典を開催した。会場はネーミングライツを保有する「日本ガイシホール」(愛知・名古屋)。2日間で延べ約5000人の社員と、国内外のグループ会社の代表らが参加した。「経営層にとっては、社員と同じ空間でコミュニケーションを取れるまたとない機会。しかし、その場限りの式典で終わってしまってはもったいない。食事やコンテンツ、会場装飾ひとつとっても、完成に至るプロセスに社員参加を促すなど、自社への理解や当社社員としての誇りにつながるものを徹底的に考えました」。
食事は若手社員と2年間の試行錯誤を経てつくり上げたオリジナルメニュー。例えば「複合ウエハーを模したパン」や「成形技術を利用してつくった壁の厚さ0.3mmのハニカムパスタ」などを用意した。「私たちの技術力を食事で表現しています。製品の形・構造・機能に似せて、楽しく自社理解を深めるものになりました。このメニューの一部はその後“スイーツBOX”にまとめ、手土産として社内限定で購入できるようにしました。お客さまや利用者から好評を得ています」。
周年を機にNGKグループ理念も新しく制定した。「創業以来引き継いできた『より良い社会環境に資する商品を提供し、新しい価値を創造する』という考え方をグローバルのグループ社員にも確実に共有できるよう表現を改めたもの。誰もが覚えられるように簡潔な言葉選びを意識しました」。
1月の記念式典では大島卓社長自ら...