新型コロナウイルスの発生以降、メディアイベントもオンライン対応に。登壇者もオンライン参加したクラウドワークスに話を聞いた。
国内での新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、クラウド上での人材マッチングサービスを手がけるクラウドワークス(東京・渋谷)は、3月5日にメディア向けにノウハウを伝える「テレワーク勉強会」を開いた。
2月26日に政府がイベントの自粛要請を発表したことなどを受け、ゲスト登壇者とメディアに対しては、原則オンラインのライブ配信(Zoom、YouTube)での参加を案内。複数の遠隔地をつなぐ、新しい形のメディアイベントとなった。
ZoomとYouTube配信を併用
2011年の創業時からテレワークを活用した事業を展開している同社。2019年からは社内でもフルリモート・フルフレックス体制を整えている。新型コロナの影響で在宅勤務に切り替える企業が急増する中、社内から「自社のノウハウを他社にも共有してはどうか」と声が挙がり、広報担当の2人が主導してメディア向けの勉強会を企画した。
広報担当者は「テレワークは“楽そう”と誤解を持たれやすい働き方であることも事実です。広報活動を通して、実際に業務上のコミュニケーションを成立させるためには工夫が必要であることを伝えたいと考えました」と話す。
当日は、同社執行役員の中山恵太氏が「今押さえるべき“事業を止めない”テレワークのコツ」と題して、テレワーク導入の実態や実施する際のポイントを解説。続いてテレワーク導入企業2社を招いたパネルディスカッションを行った。
登壇したのは、約5年前からテレワークを取り入れているアトラエの森山雄貴氏(wevox プロジェクトリーダー)と、新型コロナの広まりを受けて本格的にテレワークを導入したアソビュー取締役執行役員COOの宮本武尊氏。それぞれオンラインでの参加となった。
メディアは、オンラインではZoomで5人、YouTubeで11人が参加。撮影の都合でやむを得ず現地参加したメディアは9人だった。そのうち4人が撮影のみで、「カメラマンは現地、記者はオンライン」という、これまでにはない体制をとるメディアも見られた。
ライブ配信で必要な準備事項
担当者によると、ライブ配信の準備段階で、通常のメディアイベントに加えて発生した作業は以下の4つ。「オンライン配信ツールの選定」「(貸し出し権限を持つ)社内総務との機材に関する調整」「ライブ配信接続テスト」「登壇者向け顔合わせ接続テスト」である。
同社では、これまでに数種類の配信ツールを使用したことがあるが、今回は❶初心者でも簡易に入室できるか ❷時間制限や入室人数など、使用条件をカバーしているか ❸参加者全員の顔が映し出せるか、の3点を意識してZoomを選んだ。「背景画像を選択できるので、登壇者の背景に社名やサービス名を表示することで、広報効果も生まれます」と担当者。
また、“オンラインイベントへの参加が初めて”というメディアも多かったため、Zoomに慣れていない記者のために、URLのみで視聴できるYouTubeでのライブ配信も併用した。時間の都合がつかない記者からアーカイブ動画の共有を求められるなど、臨機応変な対応も必要だったという。
メディアの参加を促す仕組みを
当日の運用では課題も残った。スライドを見せるための画面共有や登壇者の入れ替わりなどは、オフラインと比較するとスムーズにはいかなかった。担当者は「タイムスケジュールには、オフラインの時よりも余裕を持たせる必要がありそうです」と分析する。
メディアが希望する取材スタイルとの調整も課題だ。当初は、登壇者とメディアの双方の顔が見えるやりとりを想定していたが、メディアは顔を出さない形での参加が多かったため、うまくいかなかった。さらに、「今回“原則オンライン参加”としたことで、抵抗感から参加を辞退したメディアもいらっしゃったのではと感じています」と担当者。
今後は、PRプランに「メディアに自分ごととして捉えてもらうこと」を入れ、オンラインでも積極的に参加してもらえるスタイルを模索していくという。