番組の制作スタッフであるプロデューサー、デスク、ディレクター。実は、番組によって肩書きと実際の役割が異なっている。ここでは、広報が関係性を構築すべきキーパーソンを解説する。
「プレスリリースは、制作会社やデスクではなく、プロデューサー宛に送ったほうが取り上げられやすくなりますか」。広報担当者からこのような質問を受けることがある。
一般企業の常識が頭にあるから「上位の役職者に接触した方が有利」という発想に至るのだろう。だが、テレビ番組の制作体制は一般企業の常識とは、かなり異なっている。
そこで今回は、番組制作に携わる人々の役割を俯瞰し、そこから広報担当者にとって誰が「本当のキーパーソン」なのかを浮き彫りにしていきたい。
報道番組の制作は3層構造
外から見たときに番組制作者の役割が分かりにくいのは、局や番組によって彼らの“役職名”と“実際に果たしている役割”が微妙に異なるからだ。つまり、プロデューサーという肩書きの人が、すべての番組で同じ役割を持っているとは限らない。
プロデューサーが番組制作の“本当の”責任者であることもあれば、その上にチーフ・プロデューサーがいることもある。この場合、プロデューサーは補佐役的な立場だ。また、テレビ局から発注を受けた制作会社の取りまとめ役が、自社内のチームでプロデューサーを名乗っている場合もある。役職名だけで実態をうかがい知るのは難しいのだ。
ただ、報道番組であれば、どの番組でも基本的には3層構造の役割分担となっている。「3層」とは❶番組の制作責任者 ❷日々の放送を司るまとめ役 ❸個々の企画に責任を持つ現場の人間から成っている。番組によって呼び方は異なるが、本稿では、それぞれを「プロデューサー」「デスク」「ディレクター」と総称する …