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実践!プレスリリース道場

年間販売数500万本を達成 ゼブラのヒット商品リリースを検証

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出の企業・商品のリリースについて、配信元企業に取材し、その広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウをPRコンサルタント・井上岳久氏が分析・解説します。

1年間で500万本も売れたゼブラの「ブレン」というボールペンをご存じでしょうか?

同社については3年ほど前に「ハイマッキー復刻版」のリリースを取り上げました。この連載では極めて珍しいケースですが、ブレンのリリースがあまりにも完璧に書けているため2度目の取材を行うことにしました。

ブレンの発売は2018年12月。それまでのボールペン市場でインクの滑らかさを追求した商品が人気を集めている中、ゼブラの商品開発部は書きやすさを向上させる“ほかの切り口”はないかと考えていました。実はボールペン市場は、国内の狭い市場の中でし烈な技術競争が繰り広げられているのだそうです。

他社商品を含めて大量に書き比べていたところ、筆記時にペンの振動が気になることに目をつけた担当者。そこから中芯やノック部などを固定する部品を入れてブレなくするという、これまでになかった着眼点で書きやすさを追求したのがブレンなのです。

さらに同社が調査したところ、女性がボールペンを購入する際に「ストレスなく書けること」を重視するという傾向が分かっており、働く女性の数も増えていることから女性ユーザーのニーズも強く意識しました。ボディデザインは、佐藤オオキ氏のデザインオフィス「nendo」に初めて外注。ボディにつなぎ目のないシームレスなデザインが生まれました。

普及品価格での発売も、こだわった点のひとつです。ほかの部品を共通化するなど工夫を重ねてコストを抑え、税別で150円という買い求めやすい価格帯を実現しています。

2018年12月に発売すると、2019年4月には100万本を突破。さらに発売からちょうど1年で500万本を達成。それを記念して2019年12月に配信したのが、今回紹介するリリースです。

基準を示すことで伝わりやすく

まず、タイトルで「500万本」という大きな数字を高らかにうたっているのはもちろん、(ポイント1)注目すべきはリードで「初年度100万本を超えるとヒット商品といえる」と、ヒットの基準を明記していることです。

達成リリースを見ていてよく感じるのは「確かに大きな数字だけど、これってすごいのかな?」ということ。こうして基準が書かれていると読み手には納得感があります。国内営業業務企画部広報室室長の池田智雄さんは、取材のときに聞かれることが多いという自身の経験から入れたそうです。

(ポイント2)ヒットの背景も箇条書きにしています。その中には「企業の経費削減によって社員に文具が支給されなくなり、自費で買うなら使いやすくてデザイン性の高い商品を選ぶようになっている」など、なるほどと思わされる視点があります。業界の専門家でない記者には分析できないので、メーカーの見解は必要です …

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