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元ディレクターが教える テレビ番組制作者の本音

テレ東「三大経済報道番組」の違い

下矢一良(PR戦略コンサルタント・合同会社ストーリーマネジメント代表)

テレビ東京を代表する『WBS』『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』。この経済報道3番組は、それぞれ取材対象がまったく違う。広報担当者は、その特徴を知ったうえで広報戦略を練る必要がある。

「『WBS』『ガイアの夜明け』『カンブリア宮殿』、どれでもいいのでとにかく取り上げてもらいたい」。筆者は、広報担当者からこのような質問を受けることがよくある。

その気持ちは分かるのだが、「どの番組でも出られればいい」というスタンスだと、テレビ向けのアプローチはなかなかうまくいかない。同じテレビ東京の経済報道番組でも、取材対象に求める要素はかなり異なるからだ。

「彼を知り己を知れば百戦殆あやうからず」。中国の兵法家・孫子のこの言葉のように、広報担当者としては「彼」を十分知ったうえで、戦略を練る必要がある。

『WBS』のニュースは約3分

まずはテレビ東京の経済報道の基幹ともいえる『WBS』(月~金曜午後11時~11時58分)。番組開始時(1988年)のコンセプト「世界金融の中心地を衛星でつないで、各地から経済の最新情報を伝える」から、“ワールドビジネスサテライト”という番組名が付けられた。

今では“衛星でつなぐ”という側面は、面影を感じる程度だろう。だが、世界経済の最新情報を伝える姿勢は、今でも続いている。

『WBS』で扱う“経済の最新情報”は多岐にわたる。そのため、ニュース1本あたりの長さは短くなり、3分程度が標準的となっている。

正直、ある程度の経験があるディレクターにとって、3分という尺は「どうにでもできる」長さだ。イメージ映像や過去の資料映像などを挟めば「もたせる」ことができるからだ。

広報担当者から「テレビは画になるものしか取り上げないのでは?」とよく聞かれるが、『WBS』では、上記のような理由から、画をそれほど気にしていない。“経済報道として興味深いかどうか”という視点で取材対象を選んでいるのだ。

つまり、ITや金融などの「画にならない」と言われるような業界でも不利とは言えない。先入観から諦めることなく、ぜひ積極的にアプローチしてほしい …

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