持続可能な地域をつくるためには、どのような施策が有効だろうか。全国各地で社会課題解決のためのデザイン領域の研究・実践に取り組んでいる「issue+design」代表の筧裕介氏が、富山市の例を中心に解説する。
人口減少やそれに伴う経済力の低下など、日本における先進課題を抱えている地方都市。政府が2014年に「地方創生」を発表して以降、地域活性化のために、地域ブランディングやシティプロモーションに取り組む自治体が増えている。
課題とも深い関連
ただ、やみくもに取り組むあまりに「根本的な課題の解決につながらない」と悩む自治体は多い。全国各地で地域課題解決プロジェクトに関わってきたissue+design代表理事の筧裕介氏は、その理由を「工学的アプローチの限界でしょう」と分析する。問題が発生した要因を探し、そこにピンポイントでアプローチする方法だ。
例えば、「若者不足」という問題に対して「域外からの移住・定住」というアプローチをする方法。他にも、商店街のシャッター街化対策にと活性化イベントを実施する、少子化対策として子育て奨励金を給付する、などの方法が考えられる。行政は縦割りになっているため、個別の案件ごとに対処をするケース(工学的アプローチ)が多いのだ。
しかし、地域が抱える多くの課題は、一見それぞれ独立して互いに無関係に見えても、根っこでは確実につながっているため、個別対応では根本的な解決には至らない。ある課題への対応策が他の課題に悪影響を与えて負の連鎖が生まれることもある。筧氏は「目の前にある特定の課題だけでなく、領域を超えて地域全体を俯瞰して捉える必要があります」と話す。
そのためには、SDGsの考え方に基づき、地域が抱えている課題に包括的にアプローチする必要がある。「SDGsは地球レベルの巨大な目標です …