2015年、2030年までの達成に向けて持続可能な開発目標(SDGs)*1が国連で採択された。地方創生を推進する内閣府地方創生推進事務局の遠藤健太郎氏は、地域がSDGsの達成に向けて官民連携で取り組みを行う必要性を語った。
政府は2019年12月、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を発表した。これによると、2019年時点でSDGsの達成に向けた取り組みを行っている地方公共団体の割合は13%(地方公共団体向け「SDGsに関する全国アンケート調査」)となっている。2024年度末までにこの数字を60%以上に引き上げ、持続可能なまちづくりを推進するのが目標だ。
経済・社会・環境すべてに配慮
では、政府はなぜ自治体による取り組みを後押ししているのか。それは、人口減少社会において、地域コミュニティの衰退や地域経済の縮小などの課題を解決し、持続可能なまちづくりを進めるためだ。もちろん、自治体にとってのメリットもある。内閣府 地方創生推進事務局 参事官の遠藤健太郎氏は「SDGsの考え方を取り入れることで、経済・社会・環境の3側面を統合した施策を推進できるようになります」と話す。
SDGsの達成を目指すには、17の目標すべてに配慮してバランスよく推進していく必要がある。例えば、ある自治体でインバウンドツーリズムを推進した結果、観光客の増加でゴミ問題が発生したり、住民の日常生活が妨げられたりしたという事例がある。経済的には良い影響があるかもしれないが、“環境”や“社会”には配慮が欠けている状態だ。「長い目で見たときに、3側面のすべてがプラスになるようなやり方、つまり“施策推進の全体最適化”を模索しなければいけません」と遠藤氏 …