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大学広報ゼミナール

広がる社会人大学 求められる高度化と専門性

谷ノ内 識(追手門学院大学 総務部広報課 課長)

追手門学院大学大学院で社会人学生として学ぶ現役大学職員(2018年4月)。

東京の大手私立大学で広報業務を担当しているという職員から「大学の広報研究のことで相談したい」というメールが届いたのは2019年4月のことでした。その人は業務と並行して専門職大学院に通う社会人大学院生でもあり、「組織内広報の観点から大学における理念の浸透」について先行研究を調べる中で、本連載や筆者が書いた論文にたどり着き連絡したとのことでした。自分が取り組んだ研究が誰かの参考になっているということを実感した瞬間であり、早速、予定を調整して5月に面談を行い、研究や日ごろの広報業務について意見交換しました。

大学職員が進学で得られる能力

前回の連載では、大学広報のインプットとアウトプットの場としての“学会”を取り上げ、能力開発の観点から考えました。今回は“大学院進学”を取り上げます。大学職員の大学院進学は、少子化に伴う大学間競争の激化により高度な専門能力が求められている近年、業界内ではよくのぼる話題です。

文部科学省の審議会である中央教育審議会大学分科会でも、職員の高度化に向けた方策の一環で「社会人学生として大学院等で専門性を向上させることを積極的に推進するべき」(*1)と必要性を述べています。同時に高度専門職の必要性にも触れ、具体例のひとつとして広報人材を挙げています。かくいう筆者はこの議論が出る前に博士前期課程を修了し、2018年に博士後期課程を修了するまで足かけ7年間社会人大学院生を経験しました。

*1 中央教育審議会大学分科会(2014)「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)、文部科学省

大学職員に限らず大学院進学について学内外から相談を受けることもしばしばあり、関心の高まりを改めて感じています。意外なところではテレビで活躍しているお笑い芸人の方からも要請がありました。

大学職員の大学院進学に関する先行研究はネット上でもいくつか確認できます …

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