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セコム | |
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契約カテゴリー | セキュリティサービス&プランニング |
2015年10月に、東京2020オフィシャルパートナー契約を締結。1964年の東京大会時に選手村警備を担当。続く1972年の札幌冬季大会、1998年の長野冬季大会と日本開催の大会すべてで警備を担当してきた。2018年4月には複数の民間警備会社から構成される「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体(JV)」を設立し、綜合警備保障と共同代表に就任した。 |
セコムは1962年に日本初の警備保障会社として創業(当時:日本警備保障)。その2年後、1964年に開催された東京大会で選手村の警備担当に抜擢された。
「代々木の選手村を工事や整備の段階から警備してほしいという依頼でした。まだ日本に"警備"という概念がない時代です。この東京大会を無事故で終えられたことで、社会から高い評価と信頼を得ることができ、警備に対する社会からの認知や今日の発展につながりました」。コーポレート広報部 部長の井踏博明氏はそう説明する。以後、札幌冬季大会や長野冬季大会でも警備を担当した。
近年は2015年10月に日本オリンピック委員会(JOC)とオフィシャルパートナー契約を結んだ。「1964年の大会時、創成期だった我々が社会からの信頼、認知の獲得ができたのは大会のおかげです。その当時への恩返しの気持ちも込めて、今大会も『安全・安心』な開催、運営に貢献したいという想いがあります」。
複数社で共同企業体を発足
今大会では約1万4000人の警備人材が必要と見込まれている。「同じく大会パートナーの綜合警備保障(ALSOK)と組織委員会で協議を重ねた結果、警備員の安定的な確保や機動的かつ包括的な運用などの点からJV(共同企業体)方式が最善と判断し、2社共同で『東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備共同企業体』(東京2020大会警備JV)を立ち上げました」。
この共同企業体には複数の民間警備会社が参加し、最終的には100社以上の参加を見込んでいる。セコムでは参加企業が大会で一貫した体制をとれるよう、JV事務局に社員数人を出向させて、マニュアル制作や企業ごとの担当の割り振りを行っている。「オリンピックをはじめ、箱根駅伝、東京マラソン、最近ではラグビーワールドカップなど大規模なスポーツ大会での警備実績を積んできました。その知見を活かし業界をけん引していければ」と井踏氏。
最新技術を積極的に活用
現在、バーチャル警備員やロボットなどの活用も進めている。2019年3月の東京マラソンでは、AIを活用した画像認識システムの実証実験を行った。5月には成田国際空港で巡回監視ロボット「セコムロボットX2」が導入され、ごみ箱の点検や監視を一部任せている。
人口減少が社会問題となる中、警備業界においても人手不足への対策は不可欠だ。「今回の大会会場では人的警備という面を中心にサポートしていきますが、一部の会場や最寄駅から会場までの"ラストマイル"においては先端技術を活用した警備を実施予定です。人の力を技術で増幅させる効率的な警備を実現し、時代に合った新しい警備の形をつくり上げていきたいです」と井踏氏は話す。
社員一丸で"安全"を守る
社内ではボッチャの体験会を実施したり、本社エントランスには大会の装飾を施したりと、Tokyo2020推進本部とコーポレート広報部、マーケティング部を中心に機運醸成や社員の競技への理解を促している。打ち合わせスペースの机には、ラグビーや陸上といった大会競技のフィールドをプリントするなど、訪問客との接点づくりも工夫している。
大会に向けては2019年の夏ごろから大規模な警備研修を実施。現在は警備業務から離れた社員も参加し、その規模は数千人にも上る。複数回行われる研修では、「オリンピック・パラリンピックとは」という概念そのものや歴史のほか、特有の警備業務について、実際に起こりうるあらゆるケースをロールプレイングで学ぶ。
「『安全・安心』という価値を提供するセコムにとって、無事故で無事に大会を終えることが社会への最大のアピールになる。今後のさらなる発展に向け、まずは1年後の大会の成功を目指し全力で取り組んでいきたい」と井踏氏。大会当日の実務への対策とともに、社内の一体感の高まりを感じているところだ。