報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
『美的』編集部DATA | |
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2001年に創刊した小学館の美容誌『美的』は、2009年から10年以上にわたって、美容誌カテゴリーにおける実売1位の地位を維持し続けてきた。
コンセプトには実売1位になった当初から現在まで変わらず、"「肌・心・体」のキレイは自分で磨く"を掲げ、25~35歳の美容好きな読者をターゲットとしている。実際の読者も30歳前後がボリュームゾーン。フルタイムで勤務している会社員の女性が最も多いため、上司からの印象も損ねない、きれいできちんとしたメイクの情報が求められている。編集長の鈴木智恵氏は、読者について「ある程度の収入は得ながらも、コスメはプチプラ商品も取り入れるなど、工夫しながらやりくりしている人が多い」と語る。
コスメの色の見え方にこだわり
そのような読者が支持する美的の強みは、"マジメ"であることだ。常に地に足が付いた実用性のある情報を提供することを心がけている。例えば商品名や型番は半角スペースの入れ方まで、間違いがないよう念入りに確認している。"最も正確な情報が記載されている雑誌"と堂々と言えるようこだわり抜いてきたのだ。
中でもこだわっているのがコスメの"色"。商品写真は基本的に撮り下ろしで、校了前には1点1点印刷時の色の出方と現物の色とを見比べて確認する作業を欠かさない。時には現物を印刷所に送って"同じ色に"とオーダーすることもある。
同誌にはウェブ版「美的.com」もあるが、鈴木氏は雑誌ならではの強みとして、「大量の情報の中から内容を厳選していること」「読者がじっくり読み込めるコンテンツづくり」を挙げる。
鈴木氏が編集長に就任したのは2019年7月。就任以前から、コンセプトやターゲットは変えていないが、ビジュアルの充実をさらに追求している。「コンサバ系の雑誌なので、奇抜すぎるトレンドメイクなどはそのまま紹介するのが難しいんです。そうすると、ビジュアルが1年を通して停滞した印象になってしまいます。それを防ぐために、いつもの美的だけれど見え方が違う、表情が新しいと思ってもらえる誌面づくりに挑戦していきたいと考えています」 …